ロサンゼルス・エンゼルスとの契約が切れた大谷翔平は、来季にどのチームのユニフォームを着てプレーするのか。全米の注目が集まっている。AERA 2023年11月20日号より。
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米スポーツメディア「ジ・アスレチック」のエンゼルス番記者を務めるサム・ブラムが以前から移籍先のダークホースとして挙げていたのが、今年まで優勝経験がなかったレンジャーズだ。ここ2年で積極的補強を行い、戦力が一気に充実した。打者としての大谷は、レンジャーズの球場でよく打っている印象があるともブラムは言う。ただし、初優勝を遂げたことで、球団側の獲得欲が薄れた可能性はある。
他にも、今年のオールスターゲームで大谷に「シアトルに来てくれ」と地元ファンが大合唱したシアトル・マリナーズや、ドジャースと同地区でライバルのサンフランシスコ・ジャイアンツ、オーナーが金に糸目をつけないニューヨーク・メッツなどが有力視されている。
エンゼルス残留の可能性もゼロではないと思う。打者として出場しながら投手としてリハビリを行うのに、慣れ親しんだ環境なら不確定要素は少ない。しかし、今季終盤の失速ぶりを見て、このチームで優勝するのは困難だと大谷が感じてもおかしくはない。肉体的ピークを迎えている29歳の大谷は、自身の最盛期を無駄にはしたくないはずだ。
史上最高規模の契約に
ここ3年の活躍を受けて、大谷が野球史上最高となる総額5億ドル(750億円)以上の契約を結ぶのは確実だろうと見られていた。
しかし、5年間で2度目となる右ひじの手術を受けたことで、各球団が以前より慎重になるのは間違いない。手術を受けた大谷は、打者としては来季開幕に間に合うと代理人が発表したが、投手としての復帰は25年になる予定だ。以前のような投球ができる保証もない。いつまで二刀流を続けられるのか分からないこともあって、出来高などを織り交ぜた複雑な契約になることも考えられる。そもそも、二刀流選手の契約は、参考となる前例がない。
それでも、多くの専門家が、史上最高の4億~5億ドル規模になるだろうと予想する。というのも、投手としての先行きは不透明でも、打撃だけでそれだけの価値があると考えるからだ。それほどまでに、打者・大谷の実力は評価されている。