──ギターの練習から! 作詞もそのころから?
小さいころから詩とか物語を書くのは好きだったので……でも、私、曲と詩は同時進行なんです。基本的にギターを持って、わ~って歌いながら曲を作る。いまだにそういう感じで作ってます。だから譜面も読めないですし、ギターのコードの名前も簡単なものしか分からない。でも弾ける。ダンスの振り付けを覚えてるみたいな感じですよね。体は動くけど、そのポージングの名前は知らん、みたいな(笑)。
──天才的ですね。すぐプロになろうと?
いや、音楽は好きやけど、本格的にやろうと思ったのは今の事務所に声をかけていただいた5年前ですね。18歳の夏。それまでは大学も行かなかったし、自分は何やればええんやろと。音楽なんて一握りの人がやれる世界やし、どうやったらその業界に入れるのか謎でしたし。
──あいみょんさんが演奏する映像をお友だちがユーチューブにアップしたのが、この世界に入るきっかけだそうですね。
そうなんです。それを事務所の人に見つけてもらって、ツイッターで声をかけられたという、その流れがもう、めっちゃ時代よ、なんですけど(笑)。だからホントにいろんな人に感謝しないとダメやなって思いますね。
──実際に音楽活動を始めてみていかがでした?
自分のCDがお店に並ぶのが面白くて、面白くて。でも現実的な人間なので、多分、一瞬でおしまいやろって思ってました。まさか紅白に出るまで活動させてもらえるとは……。でも、ホンマに不思議なんです。1年くらい前は都内の小さいライブハウスにお客さん100人呼べるかどうかだったので。
──急速に環境が変わることに戸惑いはなかったですか。
タイトなスケジュールに気持ちが置いていかれることもありました。でも、音楽が嫌になることはなかった。曲もどんどんできましたから、スランプみたいなものはないですね。
──今回のセカンドアルバム「瞬間的シックスセンス」はどういうアルバムですか?
ドラマやアニメの提供曲も多くて。いつもはゼロから作るんですけど、提供曲はお題を出されて大喜利をやってる感覚に近い。新しい引き出しを開けられてできた曲も多いので、根っこは全部あいみょんの音楽なんですけど、今までと違うなと感じる曲もあると思います。いろんな解釈をして聞いてくれたらうれしい。曲が独り歩きしてくれるのが理想なんです。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2019年3月4日号