『医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』加藤 容崇 ダイヤモンド社
『医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』加藤 容崇 ダイヤモンド社

 ここ数年で巻き起こっている"サウナブーム"。サウナ好きがよく口にする「ととのった」という言葉を聞いて、興味を抱いた人もいるのではないだろうか。とはいえ、"サウナ=熱くてつらい"などネガティブなイメージを持つ人も少なくないはず。

 そこで今回紹介したいのが、医師であり日本サウナ学会代表理事も務める加藤容崇氏の著書『医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』(ダイヤモンド社)。実はサウナは人体にさまざまなメリットをもたらしてくれる。特に世のビジネスパーソンにとっては"一石八鳥"の効果があるため、ぜひともチェックしてもらいたい。

 まずはサウナー用語「ととのう」の意味を見ていこう。いわゆる「ととのう」とは、「サウナ後の心身ともに非常に調子がいいと感じられる状態」のこと。多少のトリップ感を味わえるようで、加藤氏は以下のように語っている。

「私自身は、ととのいイス(外気欲をする時に座るイス)に座って目を瞑り、頭がスッキリしたと実感できた時に、『ととのった』と感じます。独特の浮遊感と、体の輪郭があいまいになるような感覚もあります」(本書より)

 心身を自動的にコンディショニングしてくれるサウナだが、本書によると「脳疲労が取れる」「決断力と集中力がアップする」「アイデアやひらめきが舞い降りる」「感情的にならなくなる」「感覚が敏感になる」「肩凝り・腰痛・眼精疲労がやわらぐ」といった効果も期待できるそうだ。なかでも興味深いのは「睡眠をコントロールできるようになる」という点だ。

 睡眠不足は多くのビジネスパーソンを悩ませる大きな問題で、"寝つきが悪い、眠りが浅い、睡眠時間が短い"など理由はさまざま。しかしサウナに入ると短時間で深い睡眠を得られるうえに、"日中の眠気も防げる"という研究結果が出ている。実際2019年に報告されたトピックスでは、"75%の人がサウナによって睡眠の改善を実感できた"と判明。加藤氏も効果を確かめるために自身で検証をおこなった。

「サウナに入った日は入らなかった日に比べて、平均1.5倍、脳や体の疲労を回復させる深い睡眠が延長しました。しかも、それぞれのある一日を詳しく見ると、サウナに入らなかった日は最初に訪れる深い睡眠の時間が49分だったのに対し、入った日は94分に。なんと、約2倍に延長したのです」(本書より)

 もしサウナに入ることで本当に睡眠の質が上がるのであれば、普段から眠気と戦っている人にとっては最高の解決方法かもしれない。

 ちなみにビジネスシーンでは"見た目"の印象も大事にしたいところ。アメリカの心理学者が提唱した「メラビアンの法則」によると、初対面の人の第一印象を決める要素は「視覚情報(見た目・表情・仕草など)」が大半を占めることが分かっている。さらに労働経済学者の研究では、"見た目による男性の生涯年収の差は2,700万円にも及ぶ"というデータが。仕事にも大きく関わる"見た目"だが、ここでもサウナが大活躍。

「サウナで汗をかいたり、血流が促進されたりすることで肌の新陳代謝が促進され、肌の調子が整います。

もう一つ、嬉しいことは、サウナに入ると甲状腺ホルモンが増えるので代謝が上がり、やせ体質になること」(本書より)

 "きれいな肌"だけでなく"痩せやすい体質"も手に入るとは、サウナの多彩な効果に驚かされる。

 サウナがもたらすさまざまなメリットを学んできたが、ここでおさえておきたいポイントは"サウナの正しい入り方"だ。サウナによる効果を最大限に引き出すためには、正しい知識を身につけておかなければならない。ではどのように入ればいいのかを見ていくと、本書では「サウナ→水風呂→外気浴」の流れをおすすめしていた。

 一連の手順を1セットとカウントして、サウナに足を運んだ際は"3~4セット"おこなう。もちろん1セットでも問題ないが、3~4セットおこなったほうがより効果的だという。ちなみに補足として、以下のアドバイスも記載されている。

「最終セットは『サウナ→水風呂(10秒程度)→水シャワー』という流れがおすすめです。最終セットは、ととのうことを目指すというよりは、これまでの数セットでととのった状態から、ゆるやかに着陸を目指していくイメージです。ですから、外気浴で体の芯を冷やさずに、水シャワーで皮膚表面だけをキュッと引き締めるとよいでしょう」(本書より)

 "ととのう"ことで気持ち良くなれるだけでなく、睡眠不足や脳疲労の改善にも繋がるサウナ。仕事のパフォーマンスを高めたい人は、ぜひサウナを活用してみてほしい。