『スーパーで買える「肉」を最高においしく食べる100の方法』長田 絢,ユニ ダイヤモンド社
『スーパーで買える「肉」を最高においしく食べる100の方法』長田 絢,ユニ ダイヤモンド社

 「お金をたくさん出せばおいしい肉が食べられる」のは、ある意味当然のこと。しかし多くの人が知りたいのは、スーパーで買える普通のお肉を最高においしく食べる方法ではないでしょうか。

 その方法を教えてくれるのが、料理研究家であり栄養士でもある長田 絢さんの料理本『スーパーで買える「肉」を最高においしく食べる100の方法』です。なんと長田さんは、狩猟免許を取得し、専門店のコンサルティングも手掛けるほど、大の肉好きです。

 本書では、肉の旨味を最大限に引き出す方法、節約やダイエットに役立つテクニックなど、厳選した100の役立つ知識を紹介。人気漫画家・ユニさんによる漫画パートをはさみながら、初心者にもわかりやすく肉の魅力を徹底的に解説しています。

 たとえば、献立を決めずにスーパーへ行ってどの肉を買うか迷ったとき。この場合は、こま切れ肉か切り落とし肉を買うのが正解だそうです。牛肉・豚肉ともに、切り落としは同じ部位から取った肉、こま切れは切り落としにならない部分を集めたスライス肉。それぞれの特徴に合わせた料理を作ることで、安いお肉でもおいしく食べられるからだといいます。

 切り落とし肉は、しょうが焼きや肉じゃが、ビーフストロガノフなど、肉の存在をしっかりと感じられる料理におすすめ。また、切り落とし肉より安いこま切れ肉も、裏技でおいしさをグンと引き出すことができるそうです。それは、牛肉売り場に置いてある無料の牛脂を持ち帰ること。油の代わりに牛脂を使うことでコクや旨味、香りが加わって、牛丼などの料理がワンランクアップした味わいになるのだとか。

 ふだん何気なく買っているスーパーのお肉も、こうしたテクニックを知るだけで選び方が一変しそうですね。長田さんも「ちょっとした基本を理解すれば、この肉はどんな料理に向いているのか、この料理を作るためにはどの部位を買ったらよいのかが見えてきます」(本書より)と伝えています。

 もちろん、肉の選び方だけではなく、保存方法や調理の仕方も重要。本書には「すき焼き用=切り落とし肉とほぼ同じ厚み。割引の『ロース切り落とし肉』を見つけたら最高のチャンス」「ハンバーグの比率は牛7:豚3がバランスよい」「肉の買い出しは、(1)まとめ買い、(2)用途に応じて小分け、(3)下味をつけて冷凍」など参考になるテクニックやコツが満載です。

 さらに、肉じゃがやカレーライス、から揚げ、ハンバーグ、トンカツなど肉料理のレシピが48種類も収録されており、テクニック本でありながら、レシピ本としても役立つ内容になっています。

 まさに、肉好きの、肉好きによる、肉好きのための一冊。キッチンの常備本として置いてみてはいかがでしょうか?

[文・鷺ノ宮やよい]