日本は歯科治療後進国... 「デンタルIQ」を上げる科学的に正しい知識とケア方法を解説!

2020/08/07 19:00

 昔から「日本人は歯並びをあまり気にしない」と残念ながらよく言われています。イギリス留学でそれを痛感したというのは、本書『東京医科歯科大学を首席卒業した名医が教える 世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか 科学的に正しい歯のケア方法』の著者・森下真紀さんです。
 国内最高峰「東京医科歯科大学」を首席で卒業したのち、イギリスの歯科大学院に留学した森下さん。イギリスはアメリカほど歯の美しさに重点を置いている国ではなかったにしろ、歯並びの悪い人は見当たらず、彼女はことあるごとに「日本人はなぜあんなに歯が汚いんだ?」と聞かれたそうです。
 彼女自身は中学生のときに矯正をして歯並びを直していましたが、「もし親が矯正治療を受けさせてくれていなかったら大変だった」と安堵したことが何度もあるとのこと。この体験が本書を執筆する原点にもなっているといいます。
 今後さらにグローバル化が進み、海外の人との交流が増えていくでしょう。仮に森下さんのように海外との交流がなくても、きれいで健康な歯を保つことは私たちにとって必要不可欠です。本書では、そのための正しい知識と最新のケア方法を、科学的データや医学論文にもとづいて教えてくれます。
 歯の悩みは幅広く、千差万別です。たとえば歯並び。現在、自身の歯並びを直したいと思っている人もいれば、子どもの矯正について考えている人もいるでしょう。本書は子どもの矯正の開始時期や方法、費用の目安などについて詳しく紹介しているほか、大人であれば何歳まで矯正が可能なのかといった点にも触れています。
 また、「日本人の約8割が感染している」と言われる歯周病についても書かれています。歯周病が進行すると歯を失うこともあり、歯が他の組織と決定的に異なるのは「再生機能がない」ということです。そのため、歯周病の「予防」が重要で、「毎日の正しい歯みがき(ホームケア)」と「定期的な専門家による検診とクリーニング(プロフェッショナルケア)」の2点を森下さんは強く訴えています。
 ほかにも虫歯や口臭の悩み、インプラントのメリット、正しい歯ブラシの選び方、よい歯科の見分け方など、歯にまつわる悩みは実にさまざま。本書では、これらを詳しく解説し、知識を深める手助けをしてくれます。
 また、実業家・堀江貴文さんや元ソニー会長・出井伸之さん、イーバンク銀行創業者・松尾泰一さんなど、著名人におこなったインタビューも必見。良い仕事をする人は、歯並びやケアにも非常に気を遣っていることがうかがえます。
 私たちの健康的な人生にとって歯がいかに大切かということに気づかされる本書。歯科治療後進国から抜け出すためにも、一人ひとりがデンタルIQを上げていく必要がありそうです。

東京医科歯科大学を首席卒業した名医が教える 世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか 科学的に正しい歯のケア方法

森下 真紀

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東京医科歯科大学を首席卒業した名医が教える 世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか 科学的に正しい歯のケア方法

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