部屋の片づけ、掃除、洗濯、料理などの家事は、人が快適に生きて行くために欠かせないものです。総務省統計局の「平成28年社会生活基本調査」によると、日本の女性が家事をする時間は一日平均2時間24分とか。仕事や睡眠の時間を合計18時間と想定すると、起きて家にいる時間の半分近くを家事に費やしていることになります。

 本書の著者で知的家事プロデューサーの本間朝子さんは、実は家事が大の苦手だったとか。「いっそ全部の家事が消えてしまえばいいなあ・・・」という願いを少しでも実現しようと、本間さんは掃除や整理がしやすいよう部屋の環境を整え、家事の動線を工夫することを考えます。「手を抜くのではなく、手間を省く家事術」が「知的家事」というわけです。

 本書には、ラクに家事をこなすために"ムダを省くコツ"が115項目にわたって紹介されています。例えば、「ダイニングテーブルに『とりあえずトレー』を設置するだけで、10秒で片づく」(CHAPTER1 片づけのムダが消える)、「寝る前にフロアーワイパーを寝室にセット。起床時にすべらせて移動すれば、掃除時間いらず」(CHAPTER2 掃除のムダが消える)、「シワにならない、専用の洗濯ネットがある」(CHAPTER3 洗濯のムダが消える)、「付属のからしやわさびの小袋は、本体チューブに留めると、使うタイミングが生まれる」(CHAPTER4 台所のムダが消える)、「手紙は写真を撮って、メモアプリに保存。本体は手放す」(CHAPTER5 データ、書類整理のムダが消える)などなど。

 「今、あなたの毎日の生活に"ムダ家事はありませんか?(中略)しかもムダな家事を消すと、あなたの時間が増えるというご褒美つきです。(中略)家族も上手に巻き込んで、一緒に実践して欲しいと思います」(本書より)

 本間さんは、家族で家事をシェアすることも、女性の負担を減らし、家族の毎日を楽しくすると言います。例えば、「"名前のない家事"にスポットライトを当てる」と題したコラムでは、夫が考えているほど、妻は夫の家事分担について評価していないという調査結果を取り上げ、この感覚のズレはなぜ起きるのかを分析。その理由として、「トイレットペーパーがなくなったら買いに行く、掃除機に溜まったゴミをすてるなど、夫は家事と思っていないが、実はやらなければならない名前のない家事があり、それは妻の役割になっているから」と結論付けて、家事シェアに不満を感じているなら、『名前のない家事』について家族で話してみることを勧めています。

 生活していると部屋は汚れるし、洗濯物は溜まります。終わりのない家事だからこそ、ラクに済ませることができれば、毎日をもっと楽しく過ごせそうです。家族のために頑張る女性ばかりでなく、自立を目指す男性にとっても、大いに役立ちそうな一冊です。