ふだん会話や手紙などで使っている日本語。皆さんは、合っているのか何となくあいまいなまま使っているなんてことありませんか?

 言葉は時代とともに変化するものではありますが、やはり本来の意味や書き方、話し方を知らずに勘違いしたままでいると、思わぬところで恥をかいてしまったりするもの。とくに提出書類や公式な場での発言などでは「正しい日本語」を扱えることが、一人前の大人のたしなみと言えるでしょう。

 今回ご紹介する『知らずに使っている残念な日本語』は、大人の教養として知っておきたい言葉の常識や間違えやすい漢字などが網羅された一冊。これさえ読めば、本当に必要な日本語力がいやでも身につき、言葉で恥をかくということがなくなるかもしれません。

 目次を開いてみると、「使うと恥をかく間違った日本語」「使ってはいけない敬語表現」「間違えやすい漢字大全」「表現力がアップする熟語」「知っていると自慢できる漢字」など、私たちが知りたいタイトルがズラリ。ここでちょっと具体的に内容をピックアップしてみましょう。

 たとえば、「おざなり」と「なおざり」、「かこつけて」と「かまけて」、「つつましい」と「つましい」など。それぞれの意味がどう違うか、どちらの言葉を使うのが適切か、皆さんはおわかりでしょうか? これらはニュアンスや言葉の響きが似通っていて混同しがちですが、本書ではこうした言葉についても詳しく解説してくれています。

 また、慣用句では「濡れ手に泡」ではなく「濡れ手に粟」、「口先三寸」ではなく「舌先三寸」、「怒り心頭に達する」ではなく「怒り心頭に発する」が正解ですが、これらの言葉もついつい間違えてしまいやすいもの。本書のように「なぜこのような言葉を使うのか」がきちんと説明され、その理由を知ることができると、今後間違いを減らすのにも役立ちそうです。

 そして、本書が「読むだけで日本語力が身につく」とうたう秘密は、簡単なドリル形式になっている点にもあるかと思います。途中、「問題編」と「解答編」にわかれており、実際に自分の頭を使って語彙力を高めていける仕組みになっているんです。大人になってテストをされる機会ってなかなかないだけに、これが意外と楽しく進めることができたりも。

 表紙には「言葉の使い方 充実1000例」との文字がありますが、およそ160ページの中に必要な日本語がぎゅっと凝縮されており大充実の内容といえるでしょう。日常の言葉づかいに自信がない、けれどどうやって日本語力を高めればよいかわからない。そんな方にはぜひとも手にとっていただきたい一冊となっています。