私たちの毎日には不安がいっぱい。メールの返信がないのは嫌われているからではないか、翌日の会議のことが気になって眠れない、自分が期待したリアクションをもらえなかった、などなど......。仕事、友人関係、恋愛、子育てと心配の種はつきませんよね。



 『「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』はタイトルのとおり、こうした不安を一瞬で消し去る方法について教えてくれる一冊です。著者は『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』が10万部を超えるベストセラーとなった大嶋信頼さん。本書では、なぜ不安になってしまうのか、不安になってしまう仕組みを説き、不安になりづらくなる具体的なメソッドを伝授してくれます。



 そもそも、私たちが不安になる根本的な理由とはなんでしょうか。さまざまな要因がありますが、本書で紹介されているものをいくつか挙げてみます。まずは「周りからの不安」。私たちは無意識のうちに脳同士がコミュニケーションをとっていて、他人の不安が自分に移ってくることがあるのだそう。



 それから「周りはみんな敵」状態になっている場合。「きっと誰かが助けてくれる」と思えず、気持ちは常に四面楚歌状態。相手から攻撃されることを想定して自分にダメ出しをしてしまい、緊張が止まらず不安になってしまうのだとか。または、想像上のやりとりで相手をモンスター化しているなんて場合も。自分の中で疑心暗鬼のスイッチが入ってしまい、どんどんと悪いほうへと考えてしまうのです。こういった「不安になる事例」は、皆さんも多かれ少なかれ思い当たるところがあるのではないでしょうか?



 でも、私たちが知りたいのは「じゃあどうすればよいのか」ですよね。そこで本書で大嶋さんが提唱するのが「暗示の言葉を与えること」です。すぐに不安になる人は「自分だけがおびえている」と思っていて、これが暗示になって「周りの人と同じようにできない」という状況を作り出しているのだとか。だったら、普段とらわれている"不安の暗示"を"楽しい暗示"に変えてしまえばいい、というのが大嶋さんの考え。「暗示で不安を消すテクニック」なのです。



 たとえば、好きな人の言動を思い返して「私に対しての気持ちがないのかも?」「他に好きな人がいるのかも?」と考え出すと、"不幸が現実になる"という自己暗示にかかってしまいます。そこで、普段使っているこの暗示を変えてしまいましょう。人の気持ちを考え始めたら「自分の感覚の解放!」と7回頭の中で唱えるのだそう。すると、雑念から解放されて「なんだ! 全然あの人に執着していなかったんだ」とさわやかな気持ちになれると大嶋さんは本書で書いています。



 他にも、ダイエット中に、思うようにやせられないことがストレスになったときは「愛される姿!」と7回頭の中で唱えてみる。上司に嫌われて自分だけが厳しくされると被害妄想に陥っている場合は「唯我独尊の喜び!」と唱えてみる。要するに、「これを唱えたら不安がラクになるかも」という自分に合った原因に対応するキーワードを唱え、不安から解放されようというメソッドです。



 こうして考えてみると、私たちの不安自体が暗示にかかって状態のようなものなのかもしれません。言葉を唱えるだけで一瞬にして不安が去るというのは、信じがたい人もいることでしょう。けれど、これを試すことで徐々にでも不安という足かせが軽くなっていく可能性があるのなら、取り入れてみるのもよいのではないでしょうか。人生において不安がゼロになることはないとは思いますが、不安になったときの対処法を身につけているだけで、私たちは日々を何倍も軽やかに生きていけるはずです。