2020年の東京オリンピックに向けて、不動産業界では、首都圏の物件への投資が注目を集めています。ピークはいつか、オリンピックが終わったら暴落するのではないかなどと様々な憶測が飛び交いながらも、大きなビジネスチャンスのはずという投資家たちの思惑にも支えられて活発な動きが続いているようです。



 不動産業界が活性化している要因の一つには、この10年ほどで目立ち始めた一般投資家の存在もあります。サラリーマンを本業としながらも不動産に投資している彼らは、「サラリーマン大家さん」と呼ばれ、中には成功して財を成し、サラリーマンをリタイアする人も出てきています。峯島忠昭さんによる著書『改訂新版"水戸大家"式本当にお金が稼げる不動産投資術』では、そんなサラリーマン大家さんになりたい、興味がある、という初心者にもわかりやすい投資術が記されています。



 峯島さんも、もとはサラリーマンでしたが、25歳の時に不動産投資を始めて以来、次々と所有物件を増やし、ついに会社勤めをやめたという経歴の持ち主です。現在は不動産業者として、また不動産投資のアドバイザーとして全国で活動しています。

 

 峯島さんのブログやメルマガは、初心者にも分かりやすいと人気で、読者数は約14万人。



 「不動産投資では、収益率を表す指標として、利回りがよく使われていますが、一番重要なのは、キャッシュフローです。キャッシュフローとは、あなたの元に入った家賃収入から、管理費や電気代、修繕費と言った支出があり、税金も引かれて、最終的に残った現金のことです」(本書より)



 峯島さんの「サラリーマン大家さん」的目線は、本書でも生かされています。



 実は、『"水戸大家"式本当にお金が稼げる不動産投資術』は、2015年7月に初版が刊行され、その後1年で6刷を重ねました。しかし、日本初となるマイナス金利政策の導入、2016年のリオデジャネイロオリンピックの開催、イギリスのEU離脱など、この1年で日本経済を取り巻く状況が大きく変わってきたことを受け、融資の動向やマーケットの動きを最新情報にして修正・加筆し、2016年10月に改訂新版として発行されたのが本書です。



 「本書は『○○の物件を買いなさい!』と一つの道を示したノウハウ本ではなく、自分のおかれた状況を認識して、どのようにすれば多くのキャッシュフローを手にすることができるか。そして目指す資産規模を達成することができるのかを、トータルで描いた、いわば『地図』のような本です」と著者は記しています。



 不動産投資に興味がないという人でも、銀行の融資の仕組みや、情報収集について詳しく説明されているので、モノの見方を鍛えるのに役に立つという側面もありそうです。厳しいビジネスの世界で生き抜くコツのようなものを見つけることができるかも知れません。