同名少女漫画を映像化した「契約結婚」がテーマのドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が大ヒットを飛ばしたのも記憶に新しいですが、ドラマの面白さに目覚めたファンのなかには早くも新たな作品を探し求める人が増えているようです。



 そこで日本の外に目を向けてみると、そこはまさにドラマの宝庫。海外ドラマを視野に入れないのは、埋蔵金が眠っていると知りながら素通りするのと同じです。



 池田敏氏による本書『「今」こそ見るべき海外ドラマ』は、海外ドラマ歴37年の著者が、これまで海外ドラマを敬遠してきた、興味はあるが手が出なかった、という初心者のための指南書として、最近の海外ドラマの動向やアメリカのドラマ事情についてわかりやすく教えてくれています。



 この時代、海外ドラマと聞いて真っ先に思い浮かぶのはやはり「動画配信サービス(SVOD)」。本書ではNetflix、Hulu、Amazonプライム・ビデオ、dtvといった、著者のいう"日本における4大「動画配信サービス」"のそれぞれの成り立ちからサービスの特色、主なラインナップ、価格(2016年8月時点)を比較できるようになっています。サービス名は知っていても今さら聞けない、誰に聞いたらいいのかわからない、みんなの話に乗れない! と密かに悩んでいる人は必読です。



 また、日本で見られる海外ドラマにはアメリカの作品しかないと思っている人もいるかもしれません。そんな人のために、スケールや大胆さでの勝負を好むアメリカ、職人気質のイギリス、メカを駆使したアクションが得意なドイツ......といった具合に、お国柄の違いを具体的なタイトルとともに紹介してくれます。さらに、敬遠される大きな原因の一つとしてよく言われる「知らない俳優ばかり出演している」理由についても、「視聴者をスト―リーに没入させる狙いで作り手側があえてそうしているケースが多い」と指摘します。先入観がないからこそ楽しめるというわけです。



 著者いわく、無数の才能や潤沢な資金が集まっているというドラマ業界では、去年より今年、今年より来年......と、加速度的に拡大再生産が起こっているのだとか。本書では、そんな膨大な作品群から著者が今一番面白いと思う"海外ドラマ七福神"(著者命名)を厳選、チャート式海外ドラママッチング表により自分の好みにあったドラマを見つけることもできます。自分で楽しむのはもちろん、知識として身につけておけば、飲み会などで自慢できるかもしれません。