クリスマス、忘年会、年越しカウントダウン、新年会と、年末から年始にかけてのパーティーシーズン。連日のように宴席をハシゴしている方もが多いのではないでしょうか? 



 2006年に出版の『忘年会』は、日本で初めて、忘年会の歴史的起源から変遷について考察した作品。



 同書によれば、日本型忘年会のルーツは、室町時代の「年忘れ」。当時の皇族の日記『看聞日記(かんもんにっき)』に、12月下旬に開催された連歌会の納会後に「酒盛乱舞」、つまり、酒宴の場が設けられ、仲間同士で乱舞するまで盛り上がったという記述があり、これが忘年会の最古の記録とされています。



 その後、江戸時代になると、町人の富裕層の間では、年末に接待型忘年会が盛んになりましたが、今日のような「今年一年お疲れさま」の意味を込めた酒食の場となったのは、昭和になってから。



 昭和30年代、高度経済成長の波により"忘年会ブーム"が到来。庶民の間でも"飲めや歌えや"の宴会が広く行われるようになり、忘年会は一気に大衆化しました。もっとも、当時でも、お酒が飲めない人にとってはこういった宴席は苦痛でしかなく、「隠し芸」に芸事を強いられる"余興ファシズム"に悩む人の嘆きも伝わっており、全員が全員、忘年会を楽しんでいたわけではなかったことがうかがえます。



 また、同書では、クリスマスと忘年会の"微妙な関係"についても言及。



 従来、忘年会と言えば、サラリーマンが羽目を外すことが主眼の、無礼講的な乱痴気騒ぎの場でしたが、近年そこから派生したのが「クリスマス忘年会」というスタイル。クリスマス・パーティーを日本文化に取り込み、融合化した宴会は、子供や女性も楽しめるオシャレなイベントとして、いまやすっかり定着しています。



 昨今、とくに若年層では、職場の忘年会への参加を負担に感じる人も増えていますが、知っているようで知らない、忘年会のトリビア満載の同書を一読すれば、意外な楽しみ方も見つけられるかもしれません。