イタリア料理研究家・翻訳家のパンツェッタ貴久子さん。"ちょいワルオヤジ"ブームのアイコンで一躍有名になった、パンツェッタ・ジローラモ氏を夫に持ち、『ジローラモが太鼓判を押すイタリアン本場の味』(集英社刊)、『お米で新鮮イタリアン』(講談社刊)など著作も多数執筆しているほか、2000年には、イタリア文化を日本に積極的に紹介した功績が評価され、ヴェローナ市から日本人初の「ジュリエッタ賞」を贈られています。



新著『ちょっとオタクなイタリア料理 ――全20州。あなたの知らない美味しいレシピがきっと見つかる!』は、日本で初めて、イタリア各地の郷土料理20州分すべてをカバーしたレシピ本。



同書では、「ボロニェーゼ」や「ミラノ風カツレツ」など、オーソドックスなイタリア料理はもちろんのこと、日本国内ではめったに味わえない"オタク"な郷土料理まで、全86品のレシピを紹介しています。



つい「イタリア料理」とひとくくりにしてしまいがちですが、実は、南北に細長いイタリアでは、南部と北部では気候や風土も違い、地域ごとに多彩な食文化が存在します。その奥深さに見せられた貴久子さんは、2年かけてイタリアの州20をくまなく訪ね、各地の家庭料理を学んだそうです。



中でも、貴久子さんがとくに思い入れを込めて紹介するのが、ジローラモ氏の生まれ故郷である、カンパニア州のナポリ市。



「マンマや家族が教えてくれたナポリ料理は、私のイタリア料理のルーツです」(同書より)と述べる通り、パンツェッタ家の姑や義兄に習ったナポリ料理は、貴久子さんが作るイタリア料理の"原点"と言える存在なのだとか。



単純なレシピ紹介にとどまらず、州ごとの風土や歴史的背景についても言及している同書は、イタリアの豊穣な食文化が垣間見られる1冊となっています。