梅の実が熟すころを"入梅(にゅうばい)"といい、そこから約30日間が梅雨。まさにそんな梅雨真っ盛りで蒸し暑い日々が続く今日この頃ですが、夏服への衣替えはもうお済みでしょうか。まだだという方は、衣類を収納する前に、きちんと汚れをチェックし、洗濯しておきましょう。


 暮らしを楽しむための知恵や、役立つ生活道具を紹介していく、本書『日本の暮らしの豆知識』では、収納前の洗濯のポイントも教えてくれています。


 まずは洗剤の選び方から。アルカリ性の洗剤はタンパク質を壊すため、ウールやシルク、ダウンなどは中性洗剤を使うと良いそう。そして、食べもののシミや皮脂による襟口・袖口の黄ばみは、洗濯前にリムーバーなどで部分漂白。衣類は裏返し、洗濯ネットに。デリケートな衣類はやさしく手洗いしましょう。


 洗濯する際の水の温度は30℃くらいまで。温度が高いと縮む原因になります。綿は高温でも大丈夫ですが、血液の汚れがあるときは低温で。続いて、洗い終わって干す際、紫外線は色あせや風合いの劣化の原因となるため、日陰に干すよう心がけると良いそうです。


 衣替えも終わり、梅雨が明ければ暑さも厳しい季節に。7月を示す"文月"という呼び名は、七夕の短冊に文を書き、願い事をしたことからそう呼ばれるようになったとのこと。


 そんな季節に役立つ生活道具として本書でオススメしているのは、薄く速乾性の良い"手ぬぐい"。平安時代に神事祭礼で使われていた手ぬぐいは、日本国内で綿花栽培が盛んになった江戸時代に人びとの暮らしに浸透。手を拭いたり、入浴時に使ったり、ほこりよけに頭にかぶったりと、その活用の仕方はさまざまですが、近年ではデザインも豊富にそろい、インテリアやファッションアイテムとして使う人も。


 そして、そうした手ぬぐいの複雑な色柄を叶えたのが、明治時代に大阪で確立した注染(ちゅうせん)という技法。糊で土手を作り、表裏に染料を注いで模様を一度に何十枚も染める技法である注染の登場は、手ぬぐい界に革命をもたらしたのだといいます。

今年の夏は、暮らしを鮮やかに彩ってくれる手ぬぐいを上手に活用してみてはいかがでしょうか。


 正月に家族や仲間と宴を楽しみ、仲睦まじく過ごす"睦月"にはじまり、年の瀬の"師走"まで、日本で営む生活を豊かなものにするために知っておきたい、季節に応じた知恵やさまざまな工夫。本書を参考に、さっそく生活のなかにとりいれてみるのもいいかもしれません。