3月1日から6月12日まで、国立西洋美術館の企画展示室で開催中の"カラヴァッジョ展"。イタリアが誇る、バロック絵画を代表する画家カラヴァッジョの作品を"風俗""五感""光""斬首"といったキーワードごとに展示、その生涯の出来事を記録した古文書などの史料も展示されています。



 明暗対比を特徴とする斬新な作風によって、"トカゲに噛まれる少年""ナルキッソス"をはじめとする数々の名画を生み出し、イタリアのみならずヨーロッパ全体に影響を及ぼしたカラヴァッジョですが、作品同様、その私生活もまた他に追随を許さぬほど強烈なものだったといいます。



 20歳でミラノからローマに移り住み、人気画家として名を馳せる一方、毎晩酒場で暴れては暴言を吐き、皿や石を投げつけることもあったというカラヴァッジョ。1605 年には、ほぼ月に1回のペースで問題を起こしては出入獄を繰り返し、翌年には喧嘩相手を殺害。殺人罪で指名手配されたため、イタリア中を逃げまわりながら、逃亡中多くの作品を残します。そしてそれらの作品と引き換えに教皇の恩赦を求めてローマに向かうも、熱病に倒れ、38年という短い人生に幕を下ろすことになったのだといいます。



 作品だけでなく、その性格や私生活も破天荒だった芸術家たち。7月1日から9月4日まで京都市美術館にて、9月14日から12月12日まで国立新美術館において、油彩、オブジェ、映像など、200点に渡る過去最大規模の作品の展示が行われるダリもそのひとり。



 1929年にパリの美術界にデビューして以来、シュルレアリスムを代表する画家として、また"アンダルシアの犬"をはじめとする映画制作、彫刻や舞台装飾、宝石や衣装デザイン、さらにはチュッパチャプスキャンディのロゴデザインを手掛けた人物としても知られるダリは、数々の奇行でも有名。



 本書『大人の西洋美術常識』には、ダリのこんなエピソードが綴られています。



「国際シュルレアリスム展で行われた講演会にて、潜水服姿で2頭の大型犬を引きながら登場、窒息しかけて観客に助けられたり、象に乗ってエッフェル塔を訪れたり、頭にフランスパンを載せて取材に対応したこともあった。自らを天才と名乗り挑発的な発言も多く、奇行もアートのうちなのか、それともただの売名行為なのかと憶測を呼ぶこととなった」



 本書には、こうした芸術家たちの私生活におけるエピソードをはじめ、名画の読み解き方や隠された秘話など、西洋美術鑑賞の際に役立つヒントが盛り沢山。実際に美術館を訪れる前に一読すれば、より一層作品を楽しむことができるはずです。