------「生」について実感でき、温かい気持ちになれる一冊なのですね。

「はい。あとは、『PP加工』っていうんでしょうか、本の表紙の加工。このぷくってなっているのが大好きなんですよ、私。なのでこの加工のあるお菓子とかが大好きなんです(笑)。この漫画にもこのPP加工がされていて、その部分だけ描写がにじんで涙が落ちているような表紙になっていて。もうすごいね、気に入ってるんですよ。実は私、これまでに手紙を書く機会が多くあったんですが、何か思いがあふれてしまって泣いて文字がにじんでしまったこととかが結構あって。そのにじんだところまでが私の思いだから、これを汲み取ってほしいと思ってそのままの状態で手紙を送ったことがあるんですよ。この本からはそういうエモさを感じさせてくれます」

------この本を読んだ時、どんなご感想をお持ちになりましたか。

「この本を読んで私は、とにかく本当に自分の恋人とかに愛情表現をしようって思いました。上野さんは、おそらく家に帰って自分の好きな人がダラダラしてたりとか、ぶつくされてぶーぶー言っていたらだるいなあとか、そういうのを当たり前にやってきて、そして当たり前のように急に死を迎えてしまったんだと思います。なので、そういう生活も奇跡的なものだなって思いながら生活したいということはすごく思いました」

------ありがとうございます。後編でも、大森靖子さんが影響を受けた本について紹介します。お楽しみに。

<プロフィール>

大森靖子 おおもりせいこ/1987年、愛媛県生まれ。シンガーソングライター。

武蔵野大学在学中の19歳の時、友人のバンドイベントに人数合わせでライブ出演したことがきっかけで音楽の世界に。そのイベントでは、ギターでライブに参加し、すでに書き留めていた曲を数曲披露。以来、毎月ライブを行うようになった。2014年にメジャーデビュー。楽曲のほとんどの作詞・作曲を手掛ける。