昨年、サッカーファンをはじめ世界中の人々を驚かせた「2015年FIFA汚職事件」。かねてより、ワールドカップやオリンピックなど大規模なスポーツ大会の招致活動では「札束が飛び交っている」と囁かれていましたが、ついに捜査当局(起訴は米FBI、家宅捜索・逮捕はスイス当局が実施)がFIFA(国際サッカー連盟)という巨大組織に乗り込む事態となりました。



 そして、日本人にとって気がかりなのが、日韓共催となった2002年ワールドカップでも同様の行為があったのではないか、という点。ロナウドやオリバー・カーン、デヴィッド・ベッカムの活躍、そして日本代表チームの躍進など、私たちを楽しませてくれ、そして感動もさせてくれたあの大会の裏に汚職があったとしたら......信じたくない方も多いのではないでしょうか。



 しかし、ノンフィクション作家の田崎健太さんは著書『電通とFIFA』で、スポーツマーケティング企業のISL社(スイス)が、8億円もの資金をFIFA理事へのロビー活動に使っていたと指摘しています。同社は元々、アディダス創業者であるアドルフ・ダスラーの息子であり、その跡を継いだホルスト・ダスラーと電通によって設立された企業。電通は1995年の時点でISLの全株式を売却しましたが、ISL自体はその後も日本のワールドカップ招致活動を手伝っていました。



 同書ではISLのロビー活動について、次のように記されています。

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