『スター・ウォーズ フォースの覚醒』『オデッセイ』『ザ・ウォーク』、これらはすべて、3D版が公開されている現在上映中の映画です。2009年に『アバター』が公開されてから早7年。今や臨場感のある3Dは、映画興行になくてはならないものになりました。



 しかし100年近く前、すでに3D映画がつくられていたと聞けば、驚く人の方が多いのではないでしょうか? 1月に発売された批評家・佐々木敦さんの書籍『ゴダール原論』には、次のような事実が書かれています。



「未だサイレント時代の一九二二年に、早くも史上初の3D映画と言われる『The Power of Love』が製作されている。初期の映画はアトラクション的な意味合いが濃かったわけだが、3D=立体映像=飛び出す映画も、そうした趣向の一つとして発明され、折りに触れて製作されてきた」



 なんと、無声(サイレント)映画の時代から3D映画は存在したという驚きの事実。これも、人々が単純に映像を楽しむだけでなく、臨場感を求めていたことの証左といえるでしょう。



 さらに本書には、3D映画に関する次のようなエピソードも。



「一九五〇年代には一時的なブームの様相を呈し、周知のようにアルフレッド・ヒッチコック監督が『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)を3Dで撮っている(ヒッチコック自身、作品としても3D映画としても必ずしも成功作ではなかったと思っているようだが)」

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