同書では、「東京VS地方」の構図だけではなく、「地方VS地方」の戦いがあると指摘した上で、次の事例が挙げられています。



「支店経済の地方都市の中でも差がつき始めている。一般に、札幌、仙台、広島、福岡は、『札仙広福』とまとめられて語られがちだが、最近では福岡がやや抜きんでている。これは、もともと九州圏の中で福岡市およびその周辺の都市的魅力が高いことや、大学などの教育機関が集中していることもあるが、地理的要因を活用した物流拠点の強化、起業支援などの施策を積極的に打ち出している高島宗一郎市長の政策にもよるだろう」



 事実、福岡市は交通機関の充実などの住みやすさをPRし、さらに地元企業への就職支援をすることによって、若年層の働き手を他の地域から取り込んでいます。つまり、「他の自治体への『転職』支援」を現実に行っているというわけです。その結果、人口減の時代にありながら政令市の中で最も高い人口増加率(2010年と15年の比較)を記録するなど、「勝ち組」の街として定着し始めているといいます。



 住む場所によって年収が変わる時代。もちろん、移住や引っ越しをすれば、変わるのは年収だけではありません。これからの人生、仕事や生活をより充実させたいと考える人は、地方移住もひとつの選択肢になり得るのではないでしょうか。