「泣ぐ子はいねえがぁ、悪い子はいねえがぁ」のセリフでおなじみ、秋田県男鹿半島の風物詩ナマハゲ。毎年、大晦日や小正月の晩になると家々を訪れ、怠惰を戒め、災厄を払う来訪神として知られています。



 近年、そんなナマハゲに由来するローカルヒーローが注目を集めているのをご存知でしょうか。



 その名も、「超神ネイガー(ちょうじんねいがー)」、赤いマスクはもちろん、ネーミングもナマハゲのセリフをもじったもの。ナモミハギ(≒ナマハゲ)の力を借りて変身し、秋田名物キリタンポをかたどった剣「キリタンソード」や、県魚ハタハタをモデルにした銃「ブリコガン」で戦います。



 超ローカル設定にもかかわらず、主題歌を歌うのは、なんと"アニソンの帝王"でおなじみ、水木一郎さん。さらに、ツィッターのフォロワー数は61,932人(12月25日現在)を突破し、秋田県内で絶大な人気を誇るだけでなく、全国区でも抜群の知名度を誇るヒーローです。



 そんな超神ネイガーを生んだ人物こそ、同県にかほ市でスポーツジムを経営する海老名保さん。ネイガー"生みの親"であり、つい最近まで"中の人"でもあった海老名さんが、2005年に、高校の同級生だった高橋大さん、菅原寿宏さんの3人で始動した「ネイガープロジェクト」は、今年で10周年を迎えました。



 書籍『奇跡のご当地ヒーロー「超神ネイガー」を作った男~「無名の男」はいかにして「地域ブランド」を生み出したのか~』は、海老名さんが自身の激動の半生と、ビジネス哲学をつづった作品。プロレスラーを目指すも脳挫傷で挫折し、悪戦苦闘の末にヒーローを生み出してから、秋田県内で数億円とも言われる経済効果を創出するに至ったドラマを描き、読み応え充分な1冊となっています。