日本の人口、1億2700万人を"100人の村"という設定に置き換えてみると――13人が子どもで61人が働き手、26人が老人という構成からなる村。しかし、2050年には子どもと働き手は減っていき、75歳以上が39人と老人だらけの村に。



 そして雇われている働き手の村人41人のうち26人が正社員、残り15人が非正社員。年収200万円以下のワーキングプアは9人。貧困・格差は拡大し続け、まったく貯金ができない家は村全体の3分の1。



 そのため村人の50人以上が、生活がきついと嘆き、自殺者は世界で5番目の多さ。老後の不安を感じている人は58人もいることになる――といいます。



 江上治さんによる『あなたがもし残酷な100人の村の村人だと知ったら』では、こうした日本の現実を、残酷なまでに炙り出していきます。



「すでにあなたの子どもたちは、生まれたときから借金まみれで、学校に行くお金もなくて、仕事に就いても給料が安くて、結婚もできない、将来の年金も期待できず、それで老親の介護に追われる......。これらは、すでに決定している事実です。じつに残酷な将来が待っているのです」(本書より)



 残酷な日本の姿。では、そうした現実を前に一体どうしたら良いのか、江上さんは人生の資本となる3要素として"自分(ヒト)""お金(カネ)""人間関係(カンケイ)"に注目します。



 なかでも最も重要なのは"人間関係資本" ――価値を交換し合うつながりを築きながら、互いに高め合っていくことだといいます。



 これからの時代を生き抜いていくためには、この人間関係資本、自分資本、お金資本をバランス良く働かせること、つまり自分の強みという自分資本を軸に、人間関係資本を築くことで、結果的にお金に結びつけていくべきだと江上さんは指摘。そのうえで"所有志向"をやめることを提案します。



「これからの時代は、所有志向の人は負けていくしかない、何も持つな、借金するな、身軽を身上に、できれば魅力のなくなったサラリーマンなんてすっぱりと辞めて得意分野で起業し、自分資本を活かし、人間関係資本を縦横無尽に使い、お金資本を得ていくこと、それが一番いいと私は考えている」(本書より)



"残酷な100人の村の村人"である私たちが生きていくためにすべきこと。本書で、そのヒントが見出せるかもしれません。