頭痛、肌荒れ、不眠症、便秘や下痢、腰痛、食欲不振、自律神経失調症、生理不順や生理痛......こうしたさまざまな症状に共通する原因のひとつ"冷え"。この"冷え"に効く治療としては、"お灸"がよく知られるところですが、煙たい、臭い、怖いといった理由から敬遠している方も多いのではないでしょうか。



 そこで、鍼灸師である白神典明さんが提唱するのは、シャワーのお湯を使った温熱療法"シャワーお灸"。お灸と同様の効果が得られるにも関わらず、必要なのは毎日の入浴の際に使用している一般的なシャワーのみ。そのため、どこででも手軽に行うことができるのだといいます。



 そのやり方は実に簡単。症状によってシャワーのお湯を当てる場所を5〜6ヵ所に選別したならば、身体の下から上へと向かって、順番に1ヵ所ずつ10秒を目安に温めていきます。これを1回り1セットとして、2〜3セット行います。1セット目より2セット目、2セット目より3セット目というように、徐々にお湯の温度を上げていきましょう。最後の3セット目は、10秒耐えられるギリギリの温度がベスト。シャワーを終え、お湯を当てた部分が赤くなっていれば良いそうです。



 本書『冷えない人はやっている シャワーお灸』では、さまざまな症状に適したお湯を当てる場所をイラスト付きで紹介していきますが、なんとなく調子が悪いとき、あるいはシャワーお灸の効果を手軽に試してみたいという方にオススメの場所は、お尻の割れ目の一番上辺りの"仙骨(せんこつ)"と呼ばれる場所。左右の骨盤をつなぐ三角の骨である仙骨には、骨盤内臓神経という重要な役割を担った神経も通っているそうです。



「骨盤内臓神経は、脳と連携して内臓や下半身の血流をコントロールする他、心拍や呼吸をはじめ、胃、十二指腸、肝臓、膵臓、腸などの内臓の働きを活発にし、栄養吸収を促進するホルモンを分泌します。そして排便や排尿を促し、時には性的な興奮を助ける働きもしています」(本書より)



 こまめに温度を上げながら、その都度10秒ほど仙骨にシャワーのお湯を当て、熱いけれどもなんとか耐えられるという自分に適した温度に行き着いたら、30秒〜60秒ほど当て続けると良いそうです。



 次第に寒くなってくる、これからの季節。この"シャワーお灸"によって、悩ましい"冷え"を解消できるかもしれません。