独身なら「結婚はまだ?」。結婚したら今度は「赤ちゃんはまだ?」と言われるのが世の常。「ほっといてくれないかな」という本人の気持ちは推し量られることなく、幾度となく繰り返されるやりとりです。



 怒りの感情が沸いてくる人もいるでしょうが、もし自分が既婚、子どもなしの場合、「子どもはまだできないの?」と言われたらどうしたらいいのでしょうか。『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』を書いた戸田久実さんが、その著書の中でNG例と正解例をあげています。



・NG例

「うーん...まだ...」(「私がいけないのか」と自分を責める)

「子どもができないとダメなんですか!?」(過剰に反応)



・正解例

「まだなんです」(聞き流す)

「これは私たち夫婦のことなので、触れないでいただけますか」



 過剰反応するとかえって逆効果になるとのこと。また、言われたことで自分を責めてしまうのもよくないそうです。



 こう聞くと、怒りの感情を押し殺して、我慢しなくてはならないと思う人もいるかもしれませんが、それは間違い。怒りは恥ずかしいことでも悪いことでもないと戸田さん。それよりも、怒ることと怒る必要のないことを区別することが大事だそう。実は怒りの裏には、"一次感情"があり、今回の例でいえば、それは「困った」「つらい」「嫌だ」というもの。この気持ちを理解してもらえないから、同じやりとりが繰り返されることになるのです。



 怒りの感情は文字通り、相手にぶつけがちですが、きちんと処理して、怒りのもととなった自分の気持ちを伝えたいもの。アンガーマネジメントはアメリカで1970年代に開発されましたが、我慢を美徳と考える日本人にも有効な心理教育のひとつのようです。