寺社仏閣を訪れ、歴史ある景観や新旧入り交じる街並みを眺め、食を楽しみ、お気に入りの品を買う。一年を通して、国内はもちろん海外からも多くの観光客が訪れる京都においては「見る・味わう・買う」と、さまざまな楽しみ方があります。



 しかし、あれもこれも楽しみたいけれど予算があまりない......というときには、本書『0円から愉しむ京都案内』を参考にしてみてはいかがでしょうか。



 本書のなかには、糺の森、醒ヶ井の井戸水、東福寺の山門といった無料で満足できるものや、水田玉雲堂の唐板、六曜社のコーヒーとドーナツ、さらに錦市場のすぐそばにある銭湯・錦湯まで、1000円以下でも十分に京都の魅力を満喫できる逸品、名所の数々を紹介してくれます。



 たとえば、京都の社寺を訪れる際、その社寺の門前にあるお店に注目されたことはあるでしょうか。



「平安遷都のさいに官寺として造営された東寺の前には、『笹屋伊織』の名物どら焼きがあり、桓武天皇が早良親王の祟りを鎮めるために創祀したと伝わる上御霊神社の前には、名物の唐板がある。同じように、今宮神社の門前にはあぶり、西本願寺の門前には『亀谷陸奥』の銘菓・松風がある」(本書より)といったように、京都の古い社寺の門前には、たいてい名物を売るお店があるのだといいます。



 世界遺産ともなっている、上賀茂神社もそのひとつ。門前には1個125円の、やきもちがあります。上賀茂神社の神紋である葵にちなみ、葵もちとも呼ばれている、葵屋やきもち総本舗のやきもちは、吟味されたもち米と、自家製のつぶ餡を使用しており、その美味しさにまとめ買いをする方も多いそうです。



 また、本書ではこんなユニークなスポットも紹介しています。参拝したところ、宝くじが当たったり、BIGで高額が当たる方が続出している、とある神社。その神社の名は、御金(みかね)神社。ビルと人家とのすき間にある御金神社は、金・銀・銅など金属類を司る神様が祀られており、地元で「こんじんさん」「みかねさん」と呼ばれ親しまれていたそう。しかし、10年ほど前、鳥居を金色に塗り替えたところ、参拝者が宝くじに当たったという知らせを受けるように。そのため、いまでは本来の金属の神様としてではなく、お金の神様として多くの参拝者を呼んでいるのだそうです。



 本書で紹介されているオススメの数々、「見る・味わう・買う」にまつわる事物を巡りながら、京都を楽しんでみてはいかがでしょうか。