子どもたちの夏休みが始まって、憂鬱な気持ちのお母さんも多いのではないでしょうか? 子どもが自宅で過ごす時間が増えるということは、その分家事が増えるということ。主婦にとっては"楽しい楽しい夏休み"というわけにはいきません。



 ほんの少しでも家事の手間が減らせたら、もっと自分の時間が持てるのに。もっと家事を楽しむことができたら、きっと気持ちが楽になるのに。そんな望みをかなえる手助けをしてくれるのが、書籍『家事の手間を9割減らせる部屋づくり』。



 著者の本間朝子さんは、自身が仕事と家事の両立に苦しんだ経験から、家事の効率化に役立つメソッド「知的家事」を考案した人物。調理師免許や整理収納アドバイザー1級の資格を持ち、その方法論には説得力があります。



 同書は、本間さんが提案している「家事をラクにする方法」を、部屋づくりの面からまとめた1冊。料理・掃除・洗濯とテーマ別に分け、そのシーンごとに手間を極力減らした本間さん流の"家事の環境づくり"が提案されていきます。



 たとえば料理について。テレビで料理研究家やシェフといった、プロの料理人たちの動きを見ていると、その手際の良さに驚かされます。気持ちよさそうに料理をする姿を見ると、"プロだからできること"と思いがちですが、著者はその秘訣は、長年の経験の中で磨きあげた腕だけにあるわけではないといいます。



 彼らプロはとにかく環境づくりに余念がありません。調理場に入ってすることは、まず使う調理道具や食器を調理台に集め、手を伸ばせばすぐに取れる場所にそれらを置くこと。こうすることで、調理中は調理台の前からほとんど動く必要もなく、余計な時間を取られることがなくなるといいます。彼らは、料理のスキルが高いだけでなく、「料理がしやすい環境をつくる」のがとても上手なのです。



「計量スプーンや調理に使う箸は、水を入れたコップに立てて調理台に置いています。こうすれば汚れてもサッとすすげるので、いちいちシンクに行かないで済みますし、コップに立ててあればサッと出し入れができます」(同書より)



 言われてみれば誰にでもできる簡単なことですが、この積み重ねが手間を減らし、家事をラクにするのです。著者は、特別なレシピでなくても、効率の良いキッチンで作った料理は、それだけで「時短レシピ」になるとも。まずは環境を作りかえるところからやってみたら、夏休みの家事もイライラせずに済むかもしれません。