巷に蔓延するさまざまな健康に関する情報。ときに情報は錯綜し、結局何が健康によいのか、わからなくなるときはないでしょうか。



 本書『実は、カラダに良くない健康法』では、「カロリーを制限したほうが長生きできる?」「糖質制限ダイエットなら、運動をしなくてもやせられる?」「コレステロールは低いほうがいい?」「塩分を摂りすぎると高血圧になる?」「水をたくさん飲むと血液はサラサラになる?」「ストレスが多い人ほどがんになりやすい?」「睡眠時間が長いほど長寿でいられる?」「薬はお茶と一緒に飲んでも大丈夫?」「早朝のジョギングやゴルフは健康にいい?」といった、44の疑問の数々を解決。



 44の疑問----たとえば「粗食は脳卒中や心臓病を招くって本当?」という疑問。



 粗食とは、食の欧米化によって、肉や脂肪をたくさん摂るようになり、カロリー過多になってしまった食生活を、伝統的な日本食に戻そうというもの。生活習慣病を防ぎ、健康増進のために、粗食を心がけている方もいらっしゃるのではないでしょうか。



 しかし、粗食を実践し、コレステロールや脂質の摂りすぎを心配するあまり、肉や卵などの動物性食品に過剰に反応してしまうと、たんぱく質不足に。結果、血管がもろくなり、脳卒中や心臓病のリスクが高まるといいます。そのため、日本の伝統的な食事に加え、たんぱく質や脂質も十分に摂る必要があるそうです。



 また、こうした肉や卵を遠ざけてしまうことによる、たんぱく質の不足に加え、老化そのものも体のたんぱく質栄養の低下をもたらします。



「老化とは体が乾いて、縮んで、ゆがむ変化、すなわち体から骨と筋肉が減少する変化である。骨と筋肉はたんぱく質からできている。つまり、老化は栄養失調になる変化で、年齢にまかせて少食になるとさらに深刻になる」



 一般的に、筋肉量は20代をピークに徐々に減少し、30歳以降は10年ごとに3〜8%ずつ減少。そのため70歳になる頃には、30歳時と比べ、筋肉量は2〜3割減ってしまうのです。老化という観点からも、シニア世代はとくに、意識的にたんぱく質を摂る必要があるようです。



 良質なたんぱく質は、「体構成ばかりか、各種ホルモンや酵素、抗体など、私たちが生きていくうえで、非常に重要な栄養素」であるといいます。脳卒中や心臓病のリスクを回避し、免疫力の低下を防ぎ、がんや感染症にかからないようにするためにも、1日3食、卵や肉はもちろん、魚、乳製品、大豆製品などのたんぱく質をしっかり摂り、さらに、たんぱく質の代謝を促すビタミンやミネラルも、野菜などからバランスよく摂取しましょう。



 自身の実践しているさまざまな健康法。本当に健康に良いものなのかどうか、本書にて今一度確認してみてはいかがでしょうか。