初対面の人と接するとき、第一印象を大きく左右する「ビジュアル」。なかでも、どのようなファッションを身に纏っているのかということは、否が応でも目に留まってしまうものです。しかしそれは同時に、ファッションセンスを磨くことさえできれば、自身のイメージアップに繋がる可能性を秘めているとも言えるのではないでしょうか。



 本書『ファッション・ライフの楽しみ方』の著者であり、文化学園大学大学院教授等を務めながら、服飾の世界に長年携わってきた高村是洲さんも、「ファッションを上手に活用すると、自分のイメージを自分で作ることができる」といいます。



 自分のイメージを形作るうえでも、重要となるファッション。本書は、高校生からのメンズスタイルというテーマのもと、どのような服を選び、着こなしていったら良いのか、ファッションを基礎から丁寧に指南。高校生はもちろんのこと、20代や30代と、どの年代の方でも大いに参考となる一冊になっています。



 そもそもセンスとは、社会性を踏まえたモノ選びのことだという高村さん。

具体的には、

① 自分の体型や年齢、立場を考えること

② 時代の空気がどのように流れているのか、つまり「流行」を知ること

③ 社会状況、政治や経済的な視点から今の世の中について考えること

の3点が融合することにより、センスになるのだといいます。



 センスが良いと言われる、服装選び。その悩みのひとつに「色」の問題があるのではないでしょうか。どのような色を選んだらいいのか迷ったとき、高村さんは濃いモノトーンをすすめます。



「ファッションに自信がないとつい、薄くて、あいまいな色を選んだり、逆に気合いを入れすぎて原色ばかり組み合わせてしまうこともありますが、黒や濃いグレーはシルエットをスッキリ見せてくれるので最もオススメです」(本書より)



 さらに濃いモノトーンは、肌のあざやかさを浮き立たせ、生き生きとみせる効果もあるのだそうです。



 このことを有効に活用した人物のひとりが、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディ。共和党のリチャード・ニクソンと対峙することになったケネディは、多くの人々が注目する、史上初となる大統領候補同士のテレビ討論の場において、濃い色のスーツを着用。ノーメイクで薄い色のスーツを着ていたニクソンに対し、ケネディはメイクを施すだけでなく、この日のために日焼けまでしたうえで、濃い色のスーツを着たのだそうです。それにより視聴者に好印象を与え、大統領選での勝利に繋がったのだといいます。いかにファッションが、人々のイメージを形成するうえで重要なのかが伝わるエピソードだといえるでしょう。



 また本書では、巻末にて、時代と共に様々なファッションスタイルがどのように移り変わってきたのか、イラスト付きでわかりやすく説明。オススメのブランド・ショップ、参考になる有名人、メインアイテム等も記されています。ファッションに敏感な方だけでなく、そうでない方も是非読んでみてはいかがでしょうか。