連日、大阪の百貨店では、カルビーのポテトチップスの高級版「グランカルビー」、ポッキーの高級版「バトンドール」、ハッピーターンの高級版「ハッピーターンズ」に行列ができており、なかでもグランカルビーにいたっては、販売している阪急百貨店の開店時間前に、当日の整理券がなくなってしまうほどの人気を博しています。



 しかし、こうした高級版でなくとも、従来からスーパーやコンビニで売られているポテトチップスやポッキー等の商品をはじめとして、チョコレートにスナック菓子にキャンディーにクッキーにと、日本のお菓子はどれをとってもそのクオリティは高いもの。



 そのため、国内に留まらず、日本のお菓子は海外においても人気なのだそうです。



 2014年から自らの拠点をバンコクに移し、ビジネス誌を中心に取材活動をしているジャーナリスト・三田村蕗子さんは、自著『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか?』の中で「お菓子ほど日本の製造業のよさが凝縮された産業はない」といい、こう述べます。



「香港やタイのスーパーでも、日本のお菓子の取扱いは年々、確実に増えている。お菓子売場を訪れるたびに、日本製の人気の高まりを肌で実感する。現地在住の日本人や金持ち香港人御用達のシティ・スーパーはもとより、庶民派スーパー、ウエルカムでも、販売される日本のお菓子の種類は増える一方」



 同書では、それぞれのお菓子メーカーへ赴いて実際に三田村さんが行った取材を中心に、海外市場において日本のお菓子がどのように受け入れられているのか、グローバルブランドに育てるために各メーカーが行っている工夫や、流通チャンネルの開拓、現地ならではの障害等を分析しながら、その将来の可能性について述べていきます。



 たとえば同書のタイトルともなっている江崎グリコの「ポッキー」。1966年に誕生したポッキーは、年間販売個数が5億箱、売上金額は4億ドル。そのうち3億箱が日本、残りの2億箱はヨーロッパやアジアを中心とした海外30か国で売り上げており、販促策も各国の事情にあわせているといいます。



 一例をあげると、1970年に江崎グリコが初の海外進出を果たした地・タイでは、ポッキーは18バーツ(約60円)で売られており、主なターゲットはティーンエイジャー。そのため、タイのティーンエイジャーが好きな場所である、ショッピングモールでのプロモーションに力を入れているそう。あるいはインドネシアでは、AKB48のジャカルタ版であるJKT48を広告塔に起用。メンバーがモールを舞台にポッキーを分け合うCMを流す等して、若者層に訴えかけているようです。



 同書では、ポッキーの他にも、カルビーの「じゃがビー」、森永製菓の「ハイチュウ」、亀田製菓の「柿の種」、不二家のポップキャンディ......といったように、様々な日本のお菓子に注目していきます。



 グローバル製品としての、日本のお菓子。そのマーケティングの実情と舞台裏を覗いてみませんか?