ミュージシャンでありながら、ラーメン界においてもその名が知れているというサニーデイ・サービスの田中貴さん。



 年間600杯ものラーメンを食べるというほど、ラーメン通の田中さんですが、高校を卒業し東京に上京して以来、大学生活・バンド生活と共に、ラーメン活動がはじまったといいます。田中さんのラーメン愛は留まるところを知らず、東京近郊のラーメン屋を巡るだけでなく、ライブやプロモーションで各地をまわる時も、全国津々浦々のラーメン屋を訪れるそう。



 こうして日々ラーメンを食べ歩いている田中さんですが、ラーメンを食べに行く際は、ガイドブック等で調べるのではなく、人からの情報を頼りに店を訪れることが多いと、本書『Ra:』でそのこだわりを述べます。



「地方でも地元の人が何気なく食べている、当たり前すぎるラーメンを地元の人に聞いて、その店に行く。基本的にその繰り返しです。その土地で生きる人が、何気なく食べている一杯、それに強く惹かれるんです」



 さらには、ラーメンと音楽の共通性も。



「『これが俺の味なんだ』と自信を持ってラーメンを作っている人に共感します。僕も『これが俺の音なんだ』という思いを持って音楽をやっています。正解はありませんから、そう信じてやらないと続けられない。ラーメンも音楽も、その人にしか作れない、そういう味や音が好きなんですね」

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