勝負において、どういうわけか、いつも勝つ人と、負けてしまう人がいます。負けてしまう人は、なぜ自分には運がないのか、あるいは運がなかったのだから上手くいかなくても仕方がないと、運のせいにしてはいないでしょうか。



「運は決して理性でつかめない不合理なものではない。たとえば、ある人に運がくるのは、そこに運がやってくる必然の道筋があるからだ。(中略)普段からしかるべき準備をし、考え、行動をしていれば、おのずと運はやってくる」



 書籍『運を支配する』の中で、こう述べるのは、引退するまでの20年間無敗だったことから、麻雀の世界では「雀鬼」との異名を持つ桜井章一さん。同書の共著者は、桜井さんの元に学生時代通っていたという、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋さん。



 藤田さんは26歳で、同社を東証マザーズ上場するなど、ライブドア社長の堀江隆文さん(当時)や楽天社長の三木谷浩史さんらと並びヒルズ族の顔として時代の寵児となった後もビジネスの世界で大活躍。その一方で、実は2014年末に「麻雀最強位」タイトルを獲得したという程の麻雀通で、本人曰く、麻雀はビジネスと非常に似ており、ビジネスにおける要所は、麻雀から学んだ、というのです。



 麻雀とビジネスの共通点として藤田さんは、同書で以下の4点を挙げます。



① どんな牌が配られるかわからない「不平等」なところからスタートする

② 一定のルールにのっとり、配られた牌をもとに、いかに人より早く大きく上がれるかの「相対的な競争」になる

③ 局の進行、相手との点棒差など刻一刻と状況が激しく変化する中で、冷静で素早い「状況判断力」が問われる

④ 4人に1人しか上がれないため、大半の時間は「忍耐力」を要する



 同書では、麻雀とビジネスの世界で勝ち続け、運の良い人、と思われているこの2人の人物が、運とは一体何か、どうすれば運をつかむことができるのかを39のポイントから分析していきます。



 たとえば勝負の場において、負け知らずな2人は、いざ勝負所というとき徹底的に自分を追い込むといいます。



 圧倒的に不利なピンチ中のピンチの状態、麻雀でいえば自分以外の3人がリーチしている状態のとき。桜井さんは、逃げの態勢になったり、開き直ったりするのではなく、徹底的に自分を追い詰め、100%の力を出し尽くさざるを得ない状態にもっていくのだそう。



 あるいは藤田さんも、ビジネスにおける数々の勝負所では、あらゆる手段で自分を追い込むとのこと。逃げ道をなくして後戻りができない極限の状態を自ら作り出し、自分の力をフルに発揮すればギリギリ勝てるという高さに目標を設定することで、これまで大きな勝負に勝ってきたのだそうです。



 運をつかみ、ツキを持続させるための、日々のものの考え方や姿勢、習慣。自分に運がやって来ない原因を知りたい方、必読の一冊となっています。