荒井由美、岡林信康、吉田拓郎、井上陽水、かぐや姫、さだまさし、アリス、松山千春、小田和正、中島みゆき......。



 錚々たる顔ぶれのカリスマたちが築き上げてきた、黄金のフォーク、ニューミュージック時代。その楽曲の数々は、今も深く身体に刻みこまれているという方も多いのではないでしょうか。



 1971年、20歳のときに音楽評論家として活動をはじめて以来、現在も活躍中の富澤一誠さん。富澤さんは、音楽評論家の立場から冒頭のアーティストたちのデビューの場に関わり、その様子を文章として音楽雑誌等に記してきたといいます。



 本書『ユーミン・陽水からみゆきまで』では、アーティストたちのデビュー秘話、ヒット曲が生まれるまでの苦悩の過程といった知られざるエピソードの数々が、フォーク、ニューミュージック時代を共に築き上げた当事者の視点から熱く語られていきます。



 一世を風靡したフォーク・ブーム。富澤さんは本書の中で、1975年以前の状況を次のように述べます。



「1975年以前のフォークの流れは、岡林信康の体制に対するプロテストソング、吉田拓郎のメッセージソング、続いて、井上陽水、かぐや姫、グレープなどの自分の生活に根ざした私小説風の美しく悲しい叙情派フォークが時代を牽引していた」

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