スリーサイズ・体重ともにオール100超えの巨体、どう見ても男にしか見えないビジュアルのオナベ女子、加齢臭もする64歳......キャストの大半が「デッドボール」級の"3B"(デブ・ブス・ババア)の繁盛店。今年で5周年を迎えた「鶯谷デッドボール」は、知る人ぞ知る"地雷系"風俗店で、東京・鶯谷、池袋、埼玉・西川口の3店舗を構え、今年11月には新橋にも進出するなど快進撃を続けています。



 まったく美形のキャストを整えていないにも関わらず、大勢の客が足を運ぶのはなぜか――そんな誰もが抱く疑問に応えてくれるのが、本書『なぜ「地雷専門店」は成功したのか? 』です。同店を2009年の開店当初から知る風俗ライターのハラ・ショーさんと、自身を「デッドボール総監督」と称する同店の店長が共著で綴る本書では、総監督の人柄・マーケティングおよび経営手腕を取り上げ、ヒットの秘密に迫っています。



 37歳のときに「風俗開業で年商1億」の謳い文句につられ、なんでもいいから社長になりたい! という思いから脱サラした総監督。実は、開業前は、風俗嬢の定番テクニック"素股"も知らないようなズブの風俗素人でした。もちろん、当初は業界未経験の素人起業がうまくいくことはありませんでした。その後、挫折しかけた時期に、たまたま飲みに行ったホルモン屋で総監督はひらめいたといいます。



"捨てるしかなかった内臓肉を使い、ホルモン屋は商売を成立させている"

"同じことが人間でもできるのではないか? "



 そう思いついた総監督は、野球に例えるなら「戦力外通告」を受けた女性たちをかき集めます。さらに集めた"戦力外選手"たちに野球風のキャッチコピーを与えホームページに掲載し、加えてマスコミへ取材依頼のFAX攻勢を仕掛るなど、一挙に売り出します。



 やがて、他店にはない特色と、「会いに行けるアイドル」ならぬ「手の届くブス」が口コミで広まり、「罰ゲーム」やアトラクション感覚で来店するチャレンジャーが続出、いまやリピーターもいるほどの人気店となりました。マスコミに取り上げられたことで、「ここなら私でも雇ってもらえる」と考える人妻や、40代以上の高齢処女も面接に来るようになったそうです。また、高齢のホームレス女性も面接のため来店したことがあったとか。



 昨今、どうにもならない低所得や生活苦のため、セックスワーカーの道を選ぶ女性も増加していると言われています。とはいえ、誰でもなれる職業というわけではなく、年齢、容姿がネックとなり、風俗嬢にさえなれない女性がいるのも事実。同店は、そんな働き口を見つけられない女性たちの受け皿という一面も持っているのです。