今月、12月12日(金)に、「歌舞伎フェイスパック~寿~」が発売されることが話題を呼んでいます。歌舞伎俳優の市川染五郎さんが監修する「歌舞伎フェイスパック」シリーズは、歌舞伎の"隈取(くまどり)"をパック上に再現したビジュアルが人気となり、売り切れ続出の人気商品。



 第2弾となる新作では、「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」、「操り三番叟(あやつりさんばそう)」など、歌舞伎のおめでたい演目をモチーフにしています。パックを装着した姿を写真に撮り、SNS上にアップする人も続出するなど、現代ならではの楽しみ方があるようです。



 いまやフェイスパックになるほど、日本を代表する伝統芸能としておなじみな歌舞伎ですが、実際に観たことがある人となると、少ないのではないでしょうか? 学生時代に、芸術鑑賞教室や修学旅行などで、1回は歌舞伎を観る機会があっても「つまらなくて寝てしまった」「セリフが聞き取れず、ストーリーがさっぱりわからなかった」という感想を持つ人も多いのだとか。



 そんな歌舞伎ビギナーや「食わず嫌い」な方々にこそ、手に取って頂きたいのが、書評サイト「HONZ」代表の成毛眞(なるけ まこと)さんが執筆した、本書『ビジネスマンへの歌舞伎案内』。実は、著者の成毛さんも、「歌舞伎はつまらない」と感じていた観客の1人でした。



 初見物の際は退屈で仕方なく、まるで拷問のように感じたという成毛さんですが、満席の客席に衝撃を受けます。これだけ大勢の観客を夢中にさせる歌舞伎の面白さとはなんなのだろうか、そして、自分にはなぜその面白さが理解できないのか、と。それから歌舞伎座に通い詰めるようになった成毛さんの歌舞伎案内は、初心者目線でわかりやすく、今日から役立つ小ネタが盛りだくさん。



 たとえば、冒頭でご紹介したパックの"隈取"とは、歌舞伎ならではの化粧方法で、登場人物の性格を表すもの。白塗りに赤い隈を描いた「紅隈(べにくま)」は正義のヒーロー役、白塗りに青や黒などブルーベースの隈を入れた「藍隈(あいくま)」は悪役など、多様なバリエーションを、イラストとともにご紹介しています。



 現代人にすれば、歌舞伎のセリフはなじみがなく難解に感じてしまうのも当然。そんなときの強い見方が、見どころやストーリーを解説してくれるイヤホンガイド。成毛さんも「イヤホンガイドを借りるのは恥ずべきことではない」と勧めています。



 また、どうしても敷居が高いというイメージが強い歌舞伎座ですが、当日券「一幕見(ひとまくみ)」席という格安な席もあります。これは演目ごとに切り売りする仕組みのチケットで、1000~1500円で観劇することができます。



 意外に気軽に行ける歌舞伎座、今年のお正月は、本書を片手にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?