日本のホワイトカラーの、業務全体に占める会議の割合は15.4%――2012年10月、NTTデータ経営研究所はこのような調査結果を発表しました。1日=8時間労働とすると、1時間以上を打ち合わせに費やしていることになります。有意義なものであれば良いのですが、管理職にしても"ヒラリーマン"にしても、「この打ち合わせ、本当に意味あるの?」と感じる場面の方が、多いのではないでしょうか?



 11月に『ビジネスを変える! 一流の打ち合わせ力』を上梓した経営コンサルタントの高橋輝行さんによると、日本企業で行われている打ち合わせの多くは「打ち合わせ力」が弱いがために、せっかくミーティングをしても上司、部下ともに不満が溜まるばかり、と指摘。本書ではその要因について、「参加者にアウトプットがない」「発言に具体性がない」「雑談が長すぎる」などなど、日本流打ち合わせの問題点を取り上げています。



 では、実のある打ち合わせにするためには、どのようにすれば良いのでしょうか?



 高橋さんは、解決策の1つとして「全員でツッコむ」ことが必要と主張しています。たとえば、高橋さんが実際に目撃した、打ち合わせの「悪い例」は次のようなものであるそうです。



部長:「今期の売上目標は対前年比120%を考えています。何か意見はある?」

社員A:「ありません......」

社員B:「私もとくに」

社員C:「とくにありません......」

部長:「じゃ、頑張っていこう。以上!」



 打ち合わせ後、高橋さんが目標を達成できそうかと社員の1人に聞くと、「増員しないと実現は無理」との返答があったそう。続けて「どうして会議でいわなかったのですか?」と問うと、「どうせ聞き入れてもらえませんから」と返すのみであったといいます。



 もちろん、単に「できない」というだけでは、仕事が進みません。打ち合わせを引っ張る人は前もってたたき台をきちんと用意し、参加者全員が知恵や特技を使って「ツッコむ(意見を出す)」ことで、打ち合わせが活性化されるそうです。



 そして、全員ツッコミの有益なツールとなるのが、ホワイトボード。打ち合わせが始まったと同時に、ホワイトボードに内容を書き始めることで、議論の内容、流れが目に見えるようになり、全員がツッコミを入れやすい環境になるといいます。「たしかに会議室のホワイトボードって、それほど使ってないな」と感じた方もいるのではないでしょうか。



 とはいえ、ホワイトボードへの「まとめ方」は難しく、高橋さんですらコンサルタントになったばかりのころは、「ホワイトボードの前に立っても緊張して何も書くことができませんでした」と振り返っています。彼は何度も書いていくという「場慣れ」することで克服していったそうですが、打ち合わせでホワイトボードに書く機会が少ない人へ奨めているのは「2ちゃんねる(2ちゃん)を見ること」だといいます。



 理由は、2ちゃんが日本最大規模の掲示板であるため、知識と表現力を兼ね備えたユーザーによる全員ツッコミが目に見える形で表されているから。もし、2ちゃんがとっつきにくいという人には、整理された「まとめサイト」でも、2ちゃんで繰り広げられる全員ツッコミを楽しむことができるとしています。



 2ちゃんを活用するというのはちょっと意外かもしれませんが、気軽に、楽しく、打ち合わせ力を高められる方法といえるのではないでしょうか。





【関連リンク】

「会議の革新とワークスタイル」に関する調査

http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/121005/index2.html