妊婦が実家に帰省して、出産に臨む「里帰り出産」。女性にとっては命がけで、一大事の出産ですから、両親や家族の助けを得るための"里帰り"は、昔から多くの妊婦が経験してきました。



 しかし、この「里帰り出産」。必ずしも積極的な理由で選択されてきたわけではないかもしれません。そう考えられる理由の一つは、日本人男性の育休取得率の低さ。厚生労働省が発表した「雇用均等基本調査」によると、2013年度の育休取得率は、女性が83.0%に対し、男性はわずか2.03%。2009年の法改正で、妻が専業主婦であっても産後8週間であれば夫も育児休暇を取得できるようになったにもかかわらず、男性の取得率はほとんど増えていません。



 里帰り出産の大きな目的は、出産で体力を消耗した妊婦が、家事や子育てを他者から全面的にサポートしてもらうこと。30代男性のうち、約2割が週60時間以上の長時間労働者(文部科学省調べ)という日本の状況では、育休が取れない夫が仕事と両立しながら、妻と子どもの世話を担うことは実際には難しいところがあります。そのため、夫婦で出産に立ち向かい、ふたりで子育てを始めるということをしたくてもできず、"やむをえず"里帰り出産を選んでいるというケースも少なからずあるようです。



 一方、日本とは対照的な外国の男性の育休取得の状況を伝えるのは、書籍『武道の教えでいい子が育つ! スウェーデン人空手家ウルリカの子育てメソッド』。同書では、日本に来て25年以上にもなるスウェーデン人女性が、共働きが当たり前である母国の育休事情について詳しく伝えています。



「スウェーデンでは育児休暇は全部で16ヵ月。それを夫婦でどう分けて取っても自由です。何ヵ月取るかはまちまちですが、ほとんどの男性は子どもが生まれると育児休暇を取ります。だから男性同士で、赤ちゃん連れで喫茶店に入ってお茶を飲むのも日常的な光景です」



 さらにウルリカさんは、出産準備サイトの特集「日本在住のグローバルママに聞きました! 日本は子育てするのに、良い国? 厳しい国?」の中で、「(スウェーデンでは)里帰り出産なんてあり得ない! 夫婦ふたりの子どもなんだから、ふたりで産んで、ふたりで子育てに慣れていかなければ」とコメントしています。選択肢の一つに、里帰り出産があるのはいいのですが、夫が十分に育休を取れないために、仕方なく「里帰り出産」を選んでいるとしたら、考えものかもしれません。



 また、同書においてウルリカさんは、空手指導者という立場から、日本における子育ての可能性についても言及しています。例えば、日本の武道の根底にある、実際の勝敗よりも、そこに至るまでの修練の「道」を重んじる精神性。これによって、子どもは自分自身の人生を切り拓く力を養うことができると指摘。そして、それは成果主義に傾きがちな西洋からみても見習うべきことが多いとのこと。



 日本では当たり前の子育てのあれこれ。海外と比較すると、必ずしも正しいとはいえなかったり、反対に自分たちが思っている以上に優れた点があったりするのも目からウロコ。ウルリカさんのように、海外と日本のどちらについてもあかるいグローバルな人物の言葉に学ぶことは多いですね。





【関連リンク】

日本在住の外国人ママに聞きました! 日本は子育てするのに、良い国? 厳しい国?(出産準備サイト)

http://baby.mikihouse.co.jp/information/post-2213.html