≪ガッツリ食べる。シコタマ飲む。せめてどちらかはお願いします。さして飲まずたいして食べず、席をつぶすグループには、あからさまに手を抜きます。  シェフ≫



 こちらの文言は、この春、ツイッター上に投稿されたある飲食店の看板に書かれてあったもの。店先の看板に"注文をしない客には手を抜く"と堂々と宣言する店主の姿勢にネット上でも賛否両論ありましたが、実際問題として、さほど注文もしないで長居する客がいるのは、お店側としては悩ましいところでしょう。



 そんなレストランや居酒屋にとって、自分のお店を繁盛させるかは、日々の問題。立地条件や価格、接客など、繁盛のためにこだわりを見せるお店はたくさんあります。しかし、忘れてはいけないものが一つあります。それは「メニューブック」。このメニューブックがお店の明暗をわけていることもあるのです。



 日経レストラン編集部による書籍『おいしい店はメニューブックがうまい』は、繁盛店のメニューブックを紹介している一冊。同書によると、メニューブックを見れば、その店が良い店なのか悪い店なのかが、すぐわかるそうです。



 私たちが飲食店でメニューブックを開くと、時折、文字だらけのものを見かけます。写真がないのでどのような料理なのか想像しにくく、何から注文していいのかわからなくなってしまいます。また、メニュー数が多すぎるお店もあります。写真がない上に、メニュー数が膨大だと、それこそ何を注文していいのやら。これではなかなか常連客をつくることができません。



 ではなぜ、このような見にくいメニューになってしまうのでしょうか。



 その答えは、「オーナーの考えに迷いがあるから」と同書で紹介されています。オーナーが迷っていると、店のメニューブックに必要以上に情報が盛り込まれてしまうのです。「流行の料理を加えよう」「近隣の店で人気の料理をそのまま取り入れよう」などと考え、それをそのまま実行してしまうからです。



 一方、「自店の強みを理解したお店のオーナーは、ポイントを絞った分かりやすいメニューブック作ることができる」とのこと。すっきりしていて見やすく、また、あれもこれも注文したくなるメニューを用意できるのは、オーナーが自店の強みをしっかり理解しているからなのです。そういう意味では、初めて入ったお店でも、メニューを開けば、そのお店が良い店なのか、そうではないのかが、すぐにわかるかもしれません。



 お店のメニュー作りはなかなか奥が深いもの。さっそく今晩のレストラン・居酒屋で確かめてみませんか。