ラジオパーソナリティ、作詞家、コラムニストとしても活躍するジェーン・スーさんは、最新作『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』の中で、昨年、40歳を迎えたときの気持ちについて「驚いた。こんなにフラフラした四十になるとは、思ってもみなかった。確か十年前も、あんなに子供染みた三十になるとは思っていなかった」と告白します。



 本書は、本のタイトルにもなっている「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」、さらに「私はオバさんになったが森高はどうだ」、「隙がないこと岩の如し」、「ファミレスと粉チーズと私」、「ババアの前に、おばさんをハッキリさせようではないか」など、見出しだけ読んだだけでも小躍りしたくなるような、ジェーン・スーさんによる痛快なエッセイ集。自身の20代やアラサー時代の経験を振り返りながら、仕事や交友関係、合コンでの振る舞い方、失恋からの立ち直り方等の多くの悩みについて赤裸々に綴られていきます。



「老けはまるで、知らぬ間に忍び寄る恐怖。ある日突然、おでこに一本の深い皺が入るわけではありません。老けは一日にしてならずであり、老けフェアリー(妖精)は、私が寝コケているうちに、私の体に毎晩少しずつ老ける粉をかけていきました。しかしそれが余りに微量なので、すぐには気付けませんでした」(本書より)



 女性たちが恐れる日々忍び寄る加齢の存在。しかし年を重ねていくことは悪いことばかりではなく、40代を迎えたことによって、40代になったからこそわかった自分自身との向き合い方、悩みへの対処法があるのだと説きます。

 

 その一つとして本書の中では、40代になった今だからこそアドバイスできる30代での心得10箇条を紹介してくれています。例えば、その前半5箇条は次のようなものです。



その一、未婚ならば、早めに結婚すべし。

その二、ハッと気付けば三十八歳になっているので覚悟すべし。

その三、最初の五年で幹を伸ばし、次の五年で枝を剪定すべし。

その四、馬鹿にしていたことを、なにかひとつ始めるべし。

その五、保険と貯金を見直すべし。



 第1箇条「未婚ならば、早めに結婚すべし」についてもう少し見てみましょう。"未婚のプロ"とも称されるジェーン・スーさんは、30代の独身生活は自由で楽しく、仕事やプライベートにも手応えや余裕が出てくるために、なかなか結婚に踏み切れないものだと言います。

 

 しかし結婚への迷いがあるのであれば、「まだ結婚に夢や希望を感じ、たったひとりと添い遂げる腹を括れる(気がする)うちに、さっさと結婚してしまう方が良いと思います。人生で最大にして最長(になる予定)のプロジェクトのパートナーを決めるには、勢いが必要です。そしてご存じの通り、年をとればとるほど、その手の勢いは減速していく」と、結婚へ前向きに動くことを薦めています。

 

 現在の自分、そして自身の生き方を肯定した上で、これまでの経験を踏まえて語るジェーン・スーさんの言葉には説得力があります。



 思わずジェーン・スーさんに悩み相談をしたくなる程の頼もしさを備えた本書。いずれ40代を迎える女性、そして現在40代送っている女性たちと、悩める全ての女性たち必読の一冊となっています。