スーパーやコンビニで売られているペットボトルや紙パックに入っている野菜ジュース。"1本で1日分の野菜を補給できる"と謳う商品も多いので、日々の野菜不足を補おうと積極的に購入している人も多いのではないでしょうか。



 しかし医学博士の板倉弘重氏は書籍『なるだけラクして内臓脂肪を減らす』の中で、そういったものでは「なかなか野菜不足を解消することはできない」とその効果について疑問を投げかけています。



 たとえば、パッケージでよく目にする「濃縮還元」の表示。この表示のある商品は、さほど栄養のある野菜ジュースとは言えないと板倉氏は指摘します。



 そもそも濃縮還元の意味は、殺菌のために野菜をいったん熱処理して濃縮したものに、水分を加え、ジュースの状態に「還元」したというもの。なかには、乾燥して粉にしたものに水をプラスしたようなものもあると、板倉氏は言います。さらには、果糖や砂糖などの糖類が加えられたものもあるとか。また、野菜を加熱するということは、熱に弱いビタミンCのような栄養成分の含有量を減らしてしまうということにもつながってしまいます。



「『1本で1日分の野菜』というようなキャッチコピーが添えられていますが、それは『1日分の野菜摂取量にあたる野菜を使用している』程度の意味で、本物の野菜の代わりになりません。野菜の食物繊維もほとんど除去されています。つまり、極端にいえば、野菜に本来含まれているビタミンやミネラル、食物繊維を加熱殺菌して破壊した残りに、水分や添加物を加えてできたのが、市販されている濃縮還元の野菜ジュースです。ケールなどの緑黄色野菜を粉末化した状態で商品にしているものも同様です」(『なるだけラクして内臓脂肪を減らす』より)



 どの野菜ジュースも身体に良いと思っていた人には驚きの新事実ではないでしょうか。また、「ストレートタイプ」といった文字が入ったジュースもありますが、こちらは加熱処理こそされていませんが、製造工程によるので、どの程度の栄養が残っているかは不透明だとも板倉氏は言います。



 なお、厚生労働省が発表している1日の野菜摂取量の目安は下記のとおり。



 緑黄色野菜(ほうれん草・にんじん・にら・ピーマン・トマトなど)120g+その他の野菜(キャベツ・大根。きゅうりなどの淡色野菜、きのこ、海藻)=合計350gです。生野菜で両手に山盛り1杯分ぐらいと覚えていると良いでしょう。



 夏本番を迎え、いつも以上に食欲が無くなってしまうと、そうめんや蕎麦など簡単なものを食べて済ませがちです。野菜不足を補うためにそれらのジュースを傍らに用意する人もいると思いますが、野菜不足を補おうと思うのならば、やはり本物の野菜を摂取する方が良さそうです。