「人生には二通りある。小沢さんを知ってしまった人生と、知らない人生である」



 これは書籍『おざわせんせい』で書かれている言葉です。「小沢さん」とは、伝説のCMクリエイター小沢正光氏のこと。小沢氏を知るのは広告業界のごく一部の人だけかもしれませんが、彼と知り合ったことで、その後の仕事に対する姿勢が変わった人が多くいます。また、博報堂の生きる伝説とも言われており、その至言・名言・暴言は多数。そして今回、その言葉を集めたものが、一冊の本となってまとめられました。



「世界中、探したのか?」

「"俺は朝までにやれ!"と言ったんだ。"徹夜しろ!"と言った覚えはない」



といった厳しい名言は数知れず。



「"営業が悪くて"→お前は悪くないのか。

"会社が悪くて"→お前も会社の一部だろう。

"時間がなくて"→時間はつくればいい。

"担当の○○がバカだったんで"→バカな○○を説得できないお前はもっとバカだ」



など、ああ言えばこう言う、エッジの利いた切り返しも小沢氏の名言となっています。



 同書はまさに、一刀両断・一撃必殺の「ことばの宝庫」。業界以外の人でも「なるほどな」と思える一冊と言えるでしょう。



 そんな小沢氏の教えの一つに、『35歳有名人説』というものがあります。



 以前、小沢氏は、世間で名前を知られるようになった人たちは、いつ頃から業績を上げだしたかを調べたことがあるそう。そこで導かれた答えが、「35歳から40歳の間」。この間に、著名人の多くは活躍し始めているのです。



 その理由は2つあるそうです。



 1つ目は「市場の中心点に立てる」から。市場の中心点とは、マーケットのど真ん中のこと。世間が「いいなぁ」と思うものを、自分も「いいなぁ」と思えるようになるというのです。少しずつ世間と自分とのズレが少なくなっていき、会社に入って10年程経つとかなり市場の中心に近づいているというわけです。新入社員が企画やアイデアを出してもなかなか通らないのは、それが世間と求めているものと違っていたりするからでしょう。



 そして、もう1つの理由は、「そのくらいになると経験の蓄積がものを言うようになる」というもの。



「誠実に仕事をしているヤツだというのが分かってくると周囲の人間もいろいろとサポートしてくれるようになる。要するに総合力がついてくる」(小沢氏)



 こういった理由から、35歳から40歳の間で活躍する人が出てくるのです。そして、いずれは著名人になるほどの名声を得るのです。



 まだ、40歳を迎えていないあなた、もがくなら今ですよ!!



 この2つの理由の大前提には、「下積み期間にどれだけの経験を蓄積したか」というものがあります。「ダメはダメなりに、できることは全部やってみたか」と小沢氏は問います。



 やはり、冒頭の「世界中、探したのか?」というのが、根本にあるのかもしれません。名声を手に入れたいのならば、ボーっとしている時間はありませんよ。今日も一日頑張っていきましょう。