日本よりも物価が安いなどという理由で、老後を海外で過ごそうという人が増えています。渡航先の選択肢の中でもマレーシアやタイといったアジア圏が人気とのことですが、「世界で一番幸せ」な国といえば、南アジアに位置する王国・ブータンでしょう。ブータンは、国民全体の幸福の度合いを示す「国民総幸福度(GNH)」の調査を推進しており、その結果が実際に国の政策にまで活用されているのだとか。



 国民の幸せを第一に考えるブータンらしい取り組みといえますが、このGNHの調査は日本の都道府県でも実施されているのをご存知でしょうか。書籍『全47都道府県幸福度ランキング 2014年版』では、日本を代表する論客が60の指標を基に徹底比較し、その結果をまとめています。



 例えば、日本における経済・文化の中心地である首都「東京」は2位。「人口増加率」「事業所新設立」といった項目では1位を獲得しており、「生活分野でも総合順位こそ低いものの、インフラの整備状況を表す指標は総じて良好であり、利便性の面では優れた生活環境を有している」と分析されています。



 そして気になる1位は、日本海や若狭湾に面する「福井県」。実はこの福井県は2013年度版でも3位という結果で、これまでの幸福度調査では常に上位の座を獲得してきた常連県。今回は「仕事分野」や「教育分野」、「雇用地域」「女性の労働力人口比率」などで軒並み1位を獲得し、幅広い分野に強みをもった地域といえます。一方で原発が多数所在することから、「事業所新設率」は46位、そして「エネルギー消費量」も45位という結果に。経済効果の先行きがわからないこともあり、新たな産業基盤を構築することが急務のようです。



 同書では分析を進めていくうえで、その地域の「強み」と「弱み」を浮かび上がらせています。特に、地域の問題を明確にしてまちづくりを進めていくことは、住みやすい地域、そして幸福度の高い地域づくりにつながっていくはず。同書を開いて、地域の未来を考えてみてはいかがでしょうか。