「2014年の日本経済は先進国でトップの成長を果たす。しかも、成熟国家としての日本は世界のトップランナーであって、7年後の2020年にその地位はますます確かなものになる」



2014年の経済に対して、明るい見通しを立てるのが、大蔵省財務官時代に為替・金融制度改革で辣腕をふるった「ミスター円」こと、経済学者・榊原英資氏です。書籍『2時間で未来がわかる! 「通貨」で読み解く これから7年、先読み! 日本経済』では、日本経済の今後を予測しています。



アベノミクスの「3本の矢」のうちの2本、金融緩和と財政出動を高く評価する榊原氏。「通信簿をつけるとしたら5段階評価で『5』を差し上げよう」と語ります。2014年のGDP成長率は1.2%〜1.3%程度と予測する調査機関は多いものの、「14年はGDP(国内総生産)でおそらく2%を超える経済成長が可能だ、と私は見ているのです」と語り、大きく4つの理由を挙げます。



1.積極的な金融緩和が続くから

 日銀総裁の黒田東彦氏が「異次元」と表現した金融緩和政策。これが2015年4月まで続きます。現在の為替レートの水準である1ドル=100円台前後は、その時点まで維持されます。株価を1万5000円台まで上昇させた推進力は、外国人買い。今は様子見の日本人機関投資家が本格的に入ってくれば、さらに上昇する可能性があります。



2.円安のせいもあり、日本企業の業績が好調だから

 円安の恩恵を受けるメーカーなどの輸出産業だけではなく、本格化してきた復興需要ゆえに、積極的な財政出動の恩恵を受ける国内企業の業績も、好調に推移しています。



3.安倍晋三政権が安定しており、経済政策に対する国民の期待も続いているから

 世界経済は減速に向かっているため、それが日本経済の成長にマイナス要因として働くことはあるかもしれません。それでも日本経済が世界のなかで、とくに先進国のなかで非常によいという状況は2014年も続く、と榊原氏は考えています。



4.消費税増税によるマイナスはそれほど深刻にはならないだろうと考えているため

 2014年4月から消費税が5%から8%に上がることは、以前から決まっていたことで、マーケットはすでに織り込み済みの話。年金や医療に巨額な財政支出が必要で、東日本大震災の深刻な状況もあり、国民の過半数が消費税増税もやむなしと考えているので、増税は深刻な影響を及ばさないと榊原氏は予想します。



「これから7年はこうなる」「『消費税8%』でこうなる」「『東京オリンピック』でこうなる」「これから7年を勝ち残る生き方は、これだ!」と、為替を知り尽くした榊原氏が日本経済を先読みした本書。2014年の日本経済の行方はどうなるのでしょうか。