最近よく耳にする「クラウドファンディング」という言葉。ある目的のため、インターネットを利用して不特定多数の人々から資金を集める行為を指します。米国では2008年に創設された「Kickstarter」、日本では「CAMPFIRE」や「READYFOR?」が有名です。



「お年玉.me」というサービスもその一例です。"お年玉が欲しい人"が、自身のプロフィールやその使い道をサイト上に登録。それを見て、"お年玉をあげてもいいと思った人"が、クレジットカード決済により寄付ができるというサービスです。リリースした2011年12月21日から閉鎖した2012年1月1日までに約110,000アクセスがあり、大きな話題となりました。



このサイトを製作したのは、福岡県の通信制高校に通う18歳の吉田拓巳さん。小学校4年生の頃にアップルストアの映像製作の講座に通い始め、中学1年生のときには同店で「Visual Jockey」としてイベントを開催するまでに成長。15歳でネットサービスの製作会社を起業しました。また2012年には、投票権のない10代の若者がネット上で模擬選挙を実施する「Teens Opinion」というサービスも手がけたことで、話題を集めました。



先述の「CAMPFIRE」をはじめとするウェブサービスを手がける35歳の連続起業家・家入一真さんが、吉田さんと対談しているのが書籍『15歳から、社長になれる。ぼくらの時代の起業入門』です。年齢が離れている二人は、ネットビジネスの当事者としての率直な意見を交わしています。



「お年玉.me」は支払いシステム上に欠陥があったために、ネット上で批判を集め、 "大炎上"しました。「そのときはまだ起業して1年目だったんですけど、ちょうど正月でみんなヒマだったから大爆発して」と吉田さんが語ると、「そう、正月ってほんとに炎上しやすいんだよね」とその道の先達として同意する家入さん。家入さんは、"炎上"することのは辛さを語りつつも、多くのサービスが注目を集めることすらないまま、消えていくことを指摘します。



幼い頃からデジタル機器やインターネットに精通した"デジタルネイティブ"として、扱われることが多いという吉田さん。「若いのにすごいね」ともてはやされることもあれば、「ちやほやされて、調子にのるんじゃない」と非難されることもあると語ります。それでも、外部に振り回され過ぎず、自分の良いと思う表現を貫いてきた点を、家入さんは評価します。



本書では吉田さん以外にも、10代、20代で起業した若者と、家入さんとの対談を収録しています。共通するのは、好きなことや世間への違和感などを原動力として、行動を起こしていること。"ゆとり世代"や"デジタルネイティブ"と一言ではくくれない、彼らの実像が浮き彫りになっています。