分かりやすいニュース解説と、権力者相手にも臆さない鋭い質問でお茶の間の人気を集めたのが、ジャーナリストの池上彰さん。現在は、ジャーナリストとしての活動を優先すべく、テレビ出演を控えているものの、今年7月の参院選時の報道特番『池上彰の参院選ライブ』(テレビ東京系)では、政治の裏側に踏み込む発言の数々で、各所から改めて高い評価を得ました。



説明上手として知られる池上さんが、自身のニュースの集め方、読み解き方、生かし方の秘密を明かしている書籍が『情報を200%活かす 池上彰のニュースの学校』です。



池上さんの起床は、毎朝7時。そこで朝食を取りながら、自宅に届けられる新聞8紙に目を通すのだそうです。その内訳は、『朝日新聞』『毎日新聞』『読売新聞』『日本経済新聞』『サンケイエクスプレス』『中国新聞』『朝日小学生新聞』『毎日小学生新聞』。広島市に本社のある『中国新聞』は、ニュース解説の連載をしているため、送ってきてくれるのだそうです。



日本の新聞については、電子版ではなくて紙の新聞を読むようにしているのは、紙の新聞の方が「圧倒的に情報収集量が多い」ため。バナー広告が貼られている電子版とは違い、紙の新聞には書籍や雑誌の広告が出ています。「これらを眺めることも重要な情報収集になります」と池上さんは語ります。



ここで大切なのは、あくまでも本文を読むのではなく、目を通すということ。それぞれの新聞にとって一番のネタが大見出しになっているので、1面から最後のページまで「ザッと見出しを頭に入れる」のです。8つの新聞にザッと目を通せば、ほんの15分か20分ほどで、この作業は済むとのこと。そこから家を出て、『東京新聞』と『産経新聞』の2紙を駅のキヨスクで購入し、教授を務める大学に向かいます。



大事なのは夜の時間。寝る前に、8つの新聞をあらためて読み直します。そこで気になる記事を気になる記事を切り取ります。ここで大事なのは、ファイリングも分類もせずに、記事をただ「取っておく」こと。



ほとんどの記事は、新聞に初めて掲載された時点ではニュースバリューをはかることが出来ません。



「このニュースにどれほど価値があるのかは、自分の頭でなくて、時間の経過に判断してもらう」。その考えから、一度「ニュースを寝かせる」のだそうです。それから数週間経った段階で、必要な記事のみをキレイにファイリングしています。



日本の新聞紙だけでなく、海外ニュース、雑誌、映画、書籍からの情報収集法を徹底伝授している本書。日々のニュースや情報との向き合い方を変えてくれる一冊となっています。