(写真:WEB本の雑誌)
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男性4.9%、女性7.1%。

AB型や、左利きの人の割合よりほんのちょっと少ないこの数字は、約1万4000人を対象に行われた2013年のアンケートで「同性愛者である」と答えた人の割合です。たとえアンケートでも「自分は同性愛者です」と答えることに抵抗のある人もいるため、実際の数字はもっと多いことでしょう。

近頃では同性愛者であることを公表する人も増え、セクシュアルマイノリティに関する知識は、もはや「現代人の基礎教養」となりつつあります。書籍『百合のリアル』は、そんな同性愛の「リアル」をわかりやすく教えてくれる一冊です。

著書は、レズビアンライフサポーターとして活動するタレントの牧村朝子さん。日本で出会ったフランス人女性と婚約後、昨年6月にフランスで"国際同性結婚"をしました。これも、現在の日本の社会制度では、同性同士の結婚が法律上認められていないためです。日本では、いまだに同性愛への偏見が色濃く、同性結婚の実現へ向けた制度作りすら進んでいないのが現状です。

「みんなと同じ」=「普通」=「正常」。牧村さんにもかつてそう信じていた時期があるそうです。「普通で正常」でありたいがために、たくさんの意味のない努力を重ねたと明かしています。

「わたしは恐くて、消したくて、仕方がありませんでした。女性を好きになった経験のある自分を。男性とのセックスの間も女性の体を思い浮かべてしまう自分を。自分自身が恐くて恐くて仕方がない、そんな気持ちを『今はちょっとおかしいだけだ、努力すれば治るのだ』と抑えこんでいました」

そう考えるようになったという牧村さんは、レズビアンを治すつもりで下記のような間違った"努力"をしてしまったそうです。

・相性の問題かもしれないと、色んなタイプの男性とお付き合いしてみる。
 結果、自分がひどいビッチに思えて気持ち悪くなる。
・自分は格好つけで女の子を好きになったいわゆるファッションレズだ!と思い込もうとする。
・超わくわくしながら男装して男言葉を使うも、まったくモテない。
・カウンセリングに通うも、女性カウンセラーが可愛すぎて、本当の悩み事を相談できず。

そんな"ダメな日々"を繰り返し、やっとのことで「自分は女が好きな女だ」ということを認められるようになったという牧村さん。すると、人それぞれが痛みや「言えないけど話したいこと」を抱えて生きていることに、気づくことができたと言います。つまり、「普通で正常な人間」は、最初からどこにもいなかったのです。

「『自分は普通で正常』の仮面を外し、自分を演じることをやめて心を開いたとき、相手の方も心を開いてくれたという経験をわたしはたくさんしました。『みんなは普通で正常』の思い込みをやめて、みんながそれぞれ色んな痛みや秘密を抱えて生きているんだなあと感じた時、世界がとても愛おしく見えはじめたということを、わたしは今でも忘れません」

【関連リンク】
・『百合のリアル』(試し読みページ)
http://ji-sedai.jp/book/publication/yuri.html