「近い将来、サラリーマンは1社だけに帰属するのではなく、2社以上と仕事をするようになる──」



これは、グロービス経営大学院教授の柴沼俊一氏と、日経ビジネス副編集長の瀬川明秀氏による書籍『アグリゲーター 5年後に主役になる働き方』で紹介されている調査結果です(日経BPビジョナリー経営研究所と日経BPイノベーションICT研究所が企画・2013年4月実施)。



同書では、今後は2社以上で仕事をするといった組織の枠組みにとらわれずに、自由に活躍できる人材が登場すると論じています。そんな彼らは、「アグリゲーター」と呼ばれます。



「アグリゲーター」とは、アグリゲートする能力を持っている個人という意味。アグリゲートとは、「短期間に社内外の多様な能力を集め・掛け合わせて、徹底的に差別化した商品・サービスを市場に負けないスピードで作り上げるやり方」のことです。



もう少しイメージしやすくすると、サラリーマン(会社員)とプロフェッショナル、そして、アグリゲーターは明確に異なります。仕事をするという点では同じですが、「誰がゴールを設定するのか」「ゴールは何か」「ゴール達成に向け、どこまでコミットするか」といった点で違いがあるのです。



「サラリーマンは、組織から与えられた所与の権限・責任の範囲で、確実に与えられた仕事を実行する人々のことだ。プロフェッショナルは、企業が目指す姿の実現に向け、実現を阻む課題を自ら持つ能力を生かして解決し結果を出す人々だ。そして、アグリゲーターは、自分のやるべきことを見いだし、それをいかなる環境においても最後までやり切る『力』とモチベーションを持つ人々である──」(同書より)



その『力』とは何でしょう。同書では、アグリゲーターが持つ思考や行動の特徴をまとめています。



■将来やってくる社会を具体的にイメージし、自分たちならどのような貢献ができるのか考えてしまうし、プランを書かずにはいられない



■既存事業の枠組みに囚われず、その瞬間に最も適切と思われる事業モデル・アプローチを設計・実行する



■事業を実現するために必要な能力を見極めることができるそれを集めるだけのネットワークを持っている



■状況に応じて、自分の古いスキル・成功経験、能力をいとわず捨てることができる



■強烈なビジョニング力を備えている



この5つに当てはまる方は、サラリーマンやプロフェッショナルでなく、アグリゲーターとしての素質があるのかもしれません。