昨年12月に安倍晋三内閣が誕生し、安倍首相が掲げた経済政策「アベノミクス」始まりそろそろ半年が経過しようとしています。5月21日のロイター通信によれば、消費マインドの改善によって外食市場が戻り歩調にあり、ビール市場が潤いを見せてきているとのこと。長い間デフレに苦しんでいる日本にも景気回復の光が差し込んできているのかもしれません。



 そんな安倍首相が、経済以外に改革を明言していることのひとつが「憲法改正」。自民党はすでに「憲法改正草案」を発表しており、特に賛否両論を生んでいるのが、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」(第21条)に「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」が加筆されていること。報道や表現の自由が論点となる先の項目は、今後も激しい物議を醸しだすことが予想されます。しかしながら、実際に憲法を読んだことのある人はどれくらいいるのでしょうか。



 書籍『日本国憲法』は1982年に出版され、大きな活字と日本の風景や生活を切り取った写真が話題を呼び、当時ベストセラーとなりました。同書の生みの親である編集者の島本脩二さんは、5月18日に放送されたTBSのニュース番組「報道特集」内で、出版した理由を次のように語っています。



「(出版することで)政治的な問題に触れるという危惧はありますよね。右か左か、改憲か護憲かっていう。それ以前に読まなくちゃいけない。読まないで変える、変えないもないでしょう」



 同書は出版されて31年が経つ現在でも売れ行きを伸ばしており、今年ついに発行部数が100万部を突破しました。長い時間をかけてついにミリオンセラーになったのです。ニュースや新聞で飛び交う論争に対し自らの考えを持てるよう、この機会に改めて憲法に触れてみてはいかがでしょうか。