経済産業省は6月4日、原子力発電所の廃炉を進めるべく、電力会社の会計制度を見直すと発表しました。廃炉に必要な費用は、消費者の電気料金に上乗せされ積み立てられていき、40年かけて廃炉費用を確保していくそうです。



 3.11の震災以降、原子力発電をめぐり様々な議論が勃発し、エネルギー問題は日本国民全体が関心を寄せる話題。6月に突入し気候が夏に近づいてきたこともあり、また徐々に電力会社による"節電"の呼びかけが盛んになることが予想されます。



 テレビ番組『ホンマでっか!?TV』のコメンテーターで中京大学教授の武田邦彦さんは、著書『「正しい」とは何か? 武田教授の眠れない講義』のなかで、節電は本当に「正しい」ことなのかと疑問を投げかけています。



「私から見ると、これは非常に怪しいのです。裏側に、隠された思惑がある、と思っています。なぜかと言いますと、それは、エネルギーはほぼ無尽蔵にあるからです。例えば石油。1970年代の石油ショックの頃は、さかんに"すぐ枯渇する"と言われていました。日本中がトイレットペーパーを買い込むなど、パニックになり、"あと40年で枯渇する"という試算も出ていたほどです。石油ショックから40年経ちましたが、なくなるなんて話、まったく出ていませんよね?」



 さらに武田さんによれば、日本の電気料金は世界的にみてもかなり高いとのこと。火力発電や水力発電よりも"コストが安い"といわれている原発が54基あるにもかかわらず、日本がアメリカの倍の電気料金である理由を次のように語ります。



「いちばん大きな理由は"独占"です。競争がないから安くならない、というわけです。携帯電話を思い浮かべたら、わかりやすいですね。携帯では、ドコモやau、ソフトバンクと、いろいろな会社がシェアで競っています。競争に勝つために、サービスの向上や、無料サービスや値引きということを熱心にやっています」



 ひとつの問題で議論が巻き起こると様々な意見が飛び交いますが、そのなかで自分にとっての「正しさ」とは何なのか――。本書を読めばその答えが見つかるかもしれません。



 また武田さんは6月14日に本書の刊行記念イベントを東京・下北沢の書店「B&B」で行うことが決定しているとのこと。同書の内容に答える質問コーナーもあるので、疑問解決の場として貴重なトークショーになりそうです。