ビールが美味しい季節になってきました。最近では、クラフトビール(地ビール)人気がじわじわ盛り上がっており、今年や来年から大きなブームになるのでは、といった声も聞こえてきます。

 クラフトビールのルーツといえばヨーロッパ。旅行中に飲んだビールが忘れられないといった人も多いでしょう。ヨーロッパのビールは、味はもちろんのこと、ボトルやグラス、コースターなどのデザインが、どれも可愛くて個性的です。

 なかでもベルギービールに魅了されたというのが、書籍『ベルギービール大全〈新〉』の著者・石黒謙吾氏です。ベルギーには、1100種類以上のビールがあり、銘柄別に専用グラスが用意されます。また、同じ銘柄であっても微妙なバリエーションがあり、かなり細分化されているのです。「ギロチン」「サタン」といった、日本では有り得ないネーミングも興味をそそるポイントなのだとか。

 馴染みのあるベルギービールといえば、ヒューガルテンではないでしょうか。なんとヒューガルテンが造られているのは修道院。ハーブやスパイスを使用しているため、複数の風味を楽しめるのが魅力。代表的な銘柄は「シメイ」。「利益を出してはいけない」という戒律があるため、原価を引いた分は途上国に寄付しているというエピソードも。

 ベルギービールは、「さあお酒だ」という感じで呑むのではなく、「ちょっとカフェで一杯」という雰囲気で呑む感じに近いとは石黒氏。

 「"ワインに詳しい"にはこまっしゃくれたイメージが、"日本酒ツウ"だとシブイオタクのイメージがあるが、ベルギービールに漂うのは、肩の力が抜けたカジュアル感覚だ。数人でベルギービールを頼む時は、みんなが違うものを頼んで、少しずつ回し飲みしていろいろな味を愉しむことをすすめているのだが、そんな飲み方が似合う気のおけない雰囲気が、ベルギービールには間違いなくある」(石黒氏)

 今年も東京を中心にベルギービールのイベントが開催されます。お気に入りのビールに隠された歴史を調べてみると、よりビールの美味みが増してくるのではないでしょうか。