※写真はイメージです (GettyImages)
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 環境意識の高まりや脱炭素社会へ動きが加速するなか、はたして自分たちの住むまちはどうか? 本誌編集部の独自集計「市区町村ランキング100」シリーズの第3弾は、SDGs(持続可能な開発目標)でも注目の“エコ”がテーマ。

【住民1人あたり「ごみ排出量」が少ないランキングはこちら】

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 エコな自治体を知るうえで欠かせないのが、ごみのリサイクル率だ。総務省の18年度データをもとに、ランキング化してみた。

(週刊朝日2021年9月10日号より)
(週刊朝日2021年9月10日号より)

 1位は北海道喜茂別町の100%。ニセコ町や留寿都村などのリゾート地に近接する町では、15年に生ごみ堆肥(たいひ)化施設が竣工した。留寿都村のごみも受け入れ、年間300トンの生ごみを堆肥化。その堆肥は住民に無料配布し、全量を地域に還元する。

「堆肥は販売できるほど質が高くないが評判はいい」(喜茂別町担当者)

 2位は埼玉県日高市。焼却施設の老朽化やごみ増大で処理能力を超えたため、地元の太平洋セメント埼玉工場へごみ処理を委託した。年間約1.1万トンの可燃ごみは、ここでセメント原料や燃料となる。通常のごみ焼却に比べ、焼却灰が出ず、ダイオキシン類の発生も低く抑えられるという。通常の燃えるごみのほか、プラスチック、ガラス、瀬戸物なども施設内でセメント焼成の際に原料や燃料になり、ごみの分別収集の手間が省ける。「自前の施設は一切持っていない。焼却施設のコストはかからない」(市担当者)

※写真はイメージです (GettyImages)
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 3位は山口県美祢市。「可燃ごみや可燃系粗大ごみは固形燃料化している」(市担当者)といい、地元の宇部興産伊佐セメント工場に売却し、燃料として活用してもらっている。

 ちなみに、今回のごみリサイクル率には影響しないが、同市はし尿処理場を持つ。「水処理すると脱水汚泥が出てきて、伊佐工場でセメント原料になる」(同)というから、ここでもセメント工場と連携し、エコなごみ処理を実現している。

 5位の福岡県宮若市では「かなり古くから燃えるごみを焼却処理していない」(市担当者)。燃えるごみはRDF(固形燃料)製造処理場で固形燃料となり、大牟田リサイクル発電のRDF発電に使われる。RDF製造処理場では、同市をはじめ、ランキング5位の小竹町、7位の鞍手町から出た可燃ごみを固形燃料へとつくりかえる。

 そもそも、ごみの排出量が少なかったり、抑えようとしていたりするケースもある。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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