日比谷の正門 (撮影/吉崎洋夫)
日比谷の正門 (撮影/吉崎洋夫)

 かつて東大に100人以上の合格者を出した名門校。1990年代には1桁台と低迷したが、今年は全国9位の63人が合格するまで復活した。医学部現役合格者は昨年の25人から減ったものの、全体としては増加傾向にある。3月まで校長を務めた武内彰さんは言う。

「医学部志望者が増えたので、指導体制を手厚くしたのです」

 予備校関係者を招いて医学部入試のセミナーを開いたり、教員による面接指導を実施したりするようになった。全国の医学部を視野に入れて進路指導をしているという。武内前校長はこう明かす。

「生徒と各大学の相性を見ながら、地方でもいいという生徒には地方の国公立大も勧めています」

 2016年創設の通信制・N(沖縄)は、今年初めて東大理三の合格者(現役)を出した。私大の慶應義塾大医学部などにも現役合格者を出している。昨年初めて東大に合格者を出した「新興勢力」だ。

 東大理三に合格した生徒は3年時に転入。難関大を目指す生徒のための特別プログラムは選択せず、通常のネットコースに在籍していた。担任の東大地さんは言う。

受験に集中できたと言ってくれました。自分で勉強する基礎ができている生徒も、そうでない生徒も自分のペースでできるのが本校のウリです」

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2021年4月23日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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