それで、私の選挙区は隣の茨城県だから「隣県勝手連」をつくって応援に行くことにしました。自民党系の首長や支持団体にも、次の衆院選の候補予定者を連れてどんどん会いに行く。それで、「谷さんが選挙で圧勝するから、最後だけでいいから応援してほしい」と言って歩いたんです。立憲の人からは「そんなことまで言っていいんですか」なんて言われましたけど、いいんですよ。自民党なんてハッタリかます政党なんだから、こっちもハッタリかますんです。

──地方選挙で勝利できても、世論調査では野党の支持率は上がっていません。

 現在の国会では、与野党の議席数に圧倒的な差があります。だから与党は国会を自由に進めることができる。新型コロナウイルスで対応が必要なのに、昨年秋は臨時国会をなかなか開かなかった。以前であれば、こんな緊急時に与党が国会を開かなかったら、マスコミはこぞって大批判したものです。

 だからといって、次の選挙で有権者が与党に投票するとは限りません。野党を支持していなくても、野党に票を入れる無党派層の国民はたくさんいます。国会を開かなかったことも含め、政府のコロナ対応には怒りを感じている人がたくさんいる。選挙は、1票差であっても「勝つか負けるか」しかありません。国民の怒りがどっちに向かうか。それは選挙をやってみないとわかりません。

──自民党は以前に比べてどのように変わったのでしょうか。

 私は自民党に約20年間いましたから、自民党政治についてそれなりに知っているつもりです。私がいた時代は、国民に対して責任ある政治をしていて、権力は抑制的に使っていた。何よりも「国を担っていくんだ」という責任感を、どの党よりも持っていた。それが野党とは違ったところです。

 それが小選挙区比例代表制になり、2012年に第2次安倍晋三内閣が発足してからは、信じられないことばかりが起きはじめました。三権分立の中で行政だけが肥大化し、国会が形骸化してしまった。2018年の通常国会終了後には、森友問題で文書の改ざんなどが相次いだことについて、大島理森衆院議長が「再発防止のための制度構築を強く求める」と苦言を呈したほどです。

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自民党は官邸の意向を追認するだけの組織になった